スマホ売上の7割が米国市場だった
調査会社「Canalys」のリサーチ・ディレクターであるNicole Peng は、ZTEの米国におけるスマートフォン販売台数が制裁発動前の水準に戻ることはないと分析する。Canalysによると、ZTEが今年1Qに出荷した660万台のスマートフォンのうち、70%が米国向けで、2017年の出荷台数では米国で4位だったという。アップルとサムスンが独占する米国市場で中国メーカーがここまで健闘するのは稀なことだ。
米国では超党派の議員がZTEを安全保障上の脅威と批判するなど反ZTE感情が高まっており、米国の提携企業は同社に背を向け始めている。Pengによると、スマートフォンの大手販売チャンネルであるAT&TやT-モバイル、スプリント、ベライゾンは既にZTEに代わるメーカーと協議をしているという。
今後、ZTEは米国向け投資を縮小し、ロシアや東南アジアなどの新興市場への進出を模索する可能性が高いとPengは予測している。
ZTEの売上の70%を占めるキャリア向け事業も大きな打撃を受けている。フォレスターのDaiによると一連のトラブルによりエリクソンやノキアなどの競合企業がZTEからシェアを奪うことが予想されるという。
中国メディアもZTE叩き
ZTEには中国でも課題が山積している。中国政府はトランプ政権と交渉して制裁解除を勝ち取ったが、問題が起きた原因はZTEにあるとして同社を批判している。政府系メディアの新華社通信は、最近の社説の中で次のように述べている。
「中国企業は自社の利益を追求して政府に負担をかけている。彼らは、巨大な赤ん坊のような振る舞いを止めるべきだ。政府は、中国人民のためにZTEを復活させる手助けをした。しかし、企業は問題が起きる度に、政府に泣きつくべきではない。国際市場で事業展開するのであれば契約を履行し、地域ごとの規制を遵守するべきだ」