中国政府が香港・マカオに「Eパス」導入、WeChatで越境管理へ

(Photo by Lam Yik Fei/Getty Images)

テンセントは中国政府とともにWeChatを活用した「Eパス」システムの構想を描いている。同社が本拠を構える広東省と香港、マカオの一帯は「グレーターベイエリア(GBA)」と呼ばれ、6300万人が暮らすメガシティとなっている。

中国はこの地域を国家の重要拠点と位置づけており、米国のシリコンバレーのようなイノベーションのハブにしたい考えだ。しかし、このエリアが抱える課題の一つが、3地域の人々が別の地域に移動する場合に、越境の許可が必要となっていることだ。

テンセントはWeChatの10億人に及ぶ個人IDや電話番号を、中国政府が管理するIDとリンクさせ、Eパスとして運用するプランを明かしている。これによりGBAでの人々の行き来がスムーズになる。

Eパスには中国政府のID情報のほか、越境許可書などのデータが盛り込まれ、旅行客らはWeChatを用いることで即座に個人認証が受けられる。政府は導入に向けた具体的日程を明かしていないが、Eパスは間もなく実現すると述べている。

この動きは習近平国家主席のビジョンを実現するうえでも重要な意味を持つ。GBAの一帯には11都市が含まれ、香港やマカオは一国二制度のもとで統治されているが、ここでの行き来が自由にならない限り一つの中国という理念は実現できない。

テンセントが描くEパス構想は、GBA地域の国際的競争力を高めるうえでも大いに役立つはずだ。

編集=上田裕資

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