JICAが開催する「250-Startups」コンテスト
JICAの開発援助の枠組みで異例の支援
Transform Africa Summit 2018では、JICAが「250 Startups」と冠したスタートアップのビジネスプランコンテストを開催した。新しいビジネスをはじめようとするルワンダの若者8組がプレゼンを行ったが、発表された事業計画のレベルはかなり高かった。
米国シリコンバレーの「500 Startups」と提携した500 KOBEプログラムの審査に携わっている私から見ても、新規性や成長性に驚かされた。しかも、皆、訓練されたプレゼンを行う。優秀なチームは、今後イスラエルで育成プログラムが準備されるという。
JICAは、ルワンダの発展はICTと起業家がカギを握ると早くから確信し、2010年にICTの専門家を派遣。第3次ICT国家戦略制定支援を行ったのを皮切りに、2012年のインキュベーション施設「K-Lab」の開設にこぎつけた。2017年にはイノベーションのエコシステムをつくる技術協力プロジェクトを新たにスタートさせ、今回のコンテストもその一環で、いよいよ本腰を入れ始めたといえよう。しかし、開発援助の枠組みで、このようにスタートアップの成長を支援するのは、極めて異例のことだ。
JICAのプロジェクトは、日本企業にとって投資やビジネス発掘の絶好の機会となる。あたかもそれに呼応したかのような寺久保さんのファンド創設であったが、よくよく話を聞くと、官民のタイミングが一致したのはまったくの偶然であった。
駐ルワンダ特命全権大使の宮下孝之さんは、「大使に着任した2年前は、この国に進出している日本企業は7社だったが、現在は15社を数える。今後もますます増えていくであろう」と語る。2年前、進出企業は日本食レストランや食品会社が中心だったが、最近はDMM.comの子会社などICT関連企業の名前も目につく。
実を言えば、この「潮目の変化」を最初に感じたのは、Transform Africa Summit 2018に参加するため、経由地の中東からルワンダに向かう機内においてだった。2015年から計7回ルワンダを訪問したが、機内で日本人に会うことは皆無だった。ところが、今回は数十人もの日本人が同乗していた。
これまでは日本から情報を得るのすら困難であったアフリカの小国の、3年後の劇的な変化を予想するのは、どうやら私だけではなさそうである。
連載 : 地方発イノベーションの秘訣
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