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Business and finance journalist

mentatdgt / Shutterstock.com

5年程前、私は数百ポンド(数万円)を使ってスマートなスーツを新調した。仕立て具合が良く、体形を引き立ててくれるスーツで、私はとても満足していた。さらに私は、そのスーツが自分にとってとても重要なメッセージ(真剣さ、プロらしさ、男性と比較した時の遜色の無さ)を体現していると感じていた。

私は初めてそのスーツを着て顧客との打ち合わせに臨んだ時、終わり際に顧客に「私の新しいスーツ、どうですか?」と聞く間違いを犯してしまった。彼はこう答えた。「そうですね、素敵ですよ。でも黒じゃなくてもよかったのに」

黒じゃなくても良かった──? 私にとって、黒ではないスーツを着るなど考えられなかった。当時の私は、若手の女性ジャーナリストとして、男社会として悪名高い金融業界で記事を書いていた。会場内に女性がいるのは明らかなのに、司会者が「グッドモーニング、ジェントルメン」の挨拶で始めるイベントにも出席してきた。私は、自分を中性的な人間に見せたかった。黒以外のスーツを着るなんて考えられなかった。

その時は結局、青とピンクのスカーフだけ買い、それ以外は変えなかった。

その数年後、出席したある講演会で、著名な男性講演者がこんな話をした。女性が地位の高いリーダーシップ職に就けない大きな理由の一つは、黒い服を着てばかりいるから。黒い服を着ている女性は目立たないのだ、と。つまり、ダークカラーの服を着ると、暗い中性的な集団に紛れてしまい、結果として、男性の大君主様たちは私たち女性を見分けられず、代わりに自分のゴルフ仲間を昇進させる──というわけだ。

黒いスーツに身を包んで傍聴席に座っていた私は、これを聞いて恐れおののいた。初めに頭に浮かんだのは「私は黒にこだわるあまり、仕事の成功を犠牲にしてきたのか?」ということ。しかし幸いにも、すぐにこう考え直した。「何をばかな! 世の中はダークスーツを着て成功した男性であふれている。女性は服装ではなく、その仕事ぶりで注目されるべきだ。この人は男性社会で働く女性のことを何も分かっていない!」

こうして私は、黒を着続けた。そして、他の人が書いた女性リーダーのインタビュー記事で、冒頭にその日のファッションチェックから始まるものに対するいら立ちを募らせるようになった。

編集=遠藤宗生

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