「好きなことが見つからない」は正しい 肯定から始める新時代の捉え方

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そして、自分磨きやキャリアプランの議論で、必ずと言っていいほど語られるのが、「好きなことを見つけなさい」という助言である。しかし、この言葉がまた、プレッシャーのもととなる。

好きなこと、好きなこと……いくら考えても思い当たらない!

本当はそう叫びたいのだけれど、「自分の好きなことが分からないなんて言ったら、貧困な人だと思われるんじゃないか」と恥じる気持ちが先に立って、誰にも言えない。とりあえず、流行りモノの言葉を並べて夢中になっているフリをしてみるも、長続きせずに疲れだけが溜まっていく。真面目な人ほど、そんな悪循環に陥るのである。

そう、「好きなことが見つからない」という病は、“真面目に”社会生活を送ってきた人ほどかかりやすい。

学校や会社生活で、教師や上司から、指示された通りに勉強し、仕事をまっとうし、「唯一の正解を当てること」「決められた目標を達成すること」で評価される社会の中では、個人が自分の「好き嫌い」を語ることはほとんど悪とされる。自分の好き嫌いを自由に発することは「ワガママ」であり、「空気を読まない」と後ろ指をさされる対象だったのだ。

会社に馴染むよう、社会に馴染むよう、自分を消して頑張ってきたというのに、突然、「副業もよしとします。これから給料が足りない分は自由に外で稼いでください」「余暇をたっぷり使って、プライベートの充実やスキルアップに励んでください」と言われても。

だから、戸惑うのは当たり前なのである。むしろ、その戸惑いは、あなた自身がこれまで真面目に頑張ってきた証なのだと、肯定したほうがいい。これまで求められてきたことは、充分に全うしたのだと、自分を褒めていただきたい。それが新しい時代へシフトする出発点になる。

「好き嫌い」を否定してきた人にとっては、「好きなことを見つけること」は簡単ではない。それをやってきたことがない“ビギナー”なのだから仕方がない。そう、経験がほとんどないからできないだけで、トレーニングさえきちんと積めば「好きなこと探し」は誰でも習得できるものなのだ。

次回は、そのトレーニングについて、すぐに実践できる方法を紹介したいと思う。

構成=宮本恵理子

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