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他のワインを試飲したあと、私たちはついにロマネ・コンティのたるの前に立った。これこそ、私が追い求めていたワインだ。角が金塗りになっているわけでも、天国のような光が差しているわけでもないが、威厳が感じられる。オベールは、たる上部の栓を開けながら「このワインに力を求めてはいけない。求めるべきは繊細さや香り、優雅な舌触りだ」と言った。

グラスにロマネ・コンティの貴重なサンプルが注がれると、私は何世紀にもわたる試行錯誤とこのワインに注がれた努力を考え、それをブルゴーニュにたどり着くまでの自分のささいな苦労と並べてみた。私はこの教訓を得るべくして得たのだ。

オベールは、ワインを口に含むとき目をつぶる。それは厳粛な瞬間で、おしゃべりはなく、熟考の瞬間だった。オベールはこのワインを頻繁に試飲してきたが、それでもただのルーチンではない。ワインを味わうオベールの顔を見ていた私は、画家のサルバドール・ダリの言葉を思い出した。

「ロマネ・コンティは、人をおしゃべりにするワインではなく、沈黙のワインだ。それ自体がすべてを物語る」

私はワインを少し飲み、まるで彫刻のように滑らかで、ぜいたくな美しい味わいが広がるのを感じた。チェリーやスパイス、花、ハーブ、茶、土が凝縮されている。このワインは、価値のあるものが簡単に作られることは何があっても絶対にないことを、改めて思い知らせてくれる飲み物だった。これこそ、このワインこそが、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティなのだ。

編集=遠藤宗生

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