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(Photo by Jan Christensen / FrontzoneSport via Getty Images)

2014年のFIFAワールドカップ(W杯)ブラジル大会で出されたレッドカードは、10枚だった。8枚にとどまった1986年のメキシコ大会より後の大会では、最も少ない数だ。また、ブラジル大会までに退場処分となった選手の総数は、160人に上っている。

6月14日開幕したW杯ロシア大会では、前回大会より多くのレッドカードが出されると考えられている。その説得力ある根拠とされているのが、史上初となる「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」の導入だ。ただ、審判の出すカードの枚数と色にVARがどのような影響を及ぼすかについては、まだ分からないこともある。

審判として活躍したキース・ハケットは英紙テレグラフに対し、VARの使用は「選手たちに心理的な影響を及ぼす」と話している。カメラが常時、彼らの動きを追っているためだ。そうだとすれば、選手たちの戦い方はVARによって変わり、その変化は永続的なものになるということだろうか。それとも、VARの存在に慣れてしまえば選手らは再び、これまで通りの行動パターンに戻るのだろうか?

一方、ベルギーのルーベンカトリック大学はVARに関して先ごろ、興味深い論文を発表した。VARが「審判の心理」にどう影響するかに焦点を当てた、初の研究結果をまとめたものだ。

調査は欧州サッカー連盟(UEFA)がイエローカードに相当すると判定した試合中のファウルの場面について、88人の審判に見直してもらう形で実施。撮影した映像の再生速度が審判の判断とペナルティの程度にどのような変化をもたらすかについて調べた。

心理科学協会のオープンアクセスジャーナル「Cognitive Research: Principles and Implications」に発表された研究結果によれば、スロー再生した場合、審判はより厳しいペナルティを科す可能性が高いことが分かった。判定の確度そのものには、再生速度が大きく影響することはなかったという。

スロー再生した場合、判定の確度は普通の速度で再生し視聴した場合に比べ、61%から63%へと小幅に上昇した。ただし、ペナルティについてはスロー再生で確認した場合、レッドカードとするケースが10%から20%に増加した。

研究チームはこの結果について、スローモーションで見ることによってファウルがより深刻な問題に感じられるのだろうとの見方を示している。FIFAもまた、VARの使用に関して、ペナルティの程度について確認する際にはスロー再生しないよう指示している。

VARの使用について

VARは「得点」「PK」「一発退場」「処分対象の選手に誤りがないか」について確認が必要とされる場面に限って使用される。判断に責任を負うのは常に審判であり、判定が覆されるのは、VARによってそれが「明らかに誤り」だと確認された場合のみだ。

FIFAは審判とVARが従うべきガイドラインを作成。どのような場合にスロー再生を行うべきか、確認においてはどの映像をどのタイミングから見直すべきか、などを明確に規定している。FIFAのウェブサイトにも、VARシステムとその使用に関する詳しい説明が掲載されている。

編集=木内涼子

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