W杯に特化したAIサービス 全選手を画像認識するテレビも

Olena Yakobchuk / Shutterstock.com

熱戦が続くFIFAワールドカップロシア大会(以下、W杯)。中国では、4年に1度のサッカーの祭典を狙って、メーカー各社から人工知能(AI)を取り入れた製品・サービスが次々と発表されている。

中国家電大手ハイセンス(Hisense)は、W杯バージョンの人工知能TVシリーズを発表している。同製品群に搭載された主な機能のひとつに、画像認識機能がある。視聴者がテレビでW杯を見る際、リモコンの特定ボタンを押すと、画面に映った選手や彼らが身に着けたアイテムの情報を知ることができる。今大会に出場する約900人近い選手の情報がすべて含まれているそうで、認識までにかかる時間はおよそ0.1秒、精度は99%との触れ込みだ。

またハイセンスの人工知能TVには音声認識機能も搭載されている。視聴者が質問すると、「試合日程および時間」「試合結果と選手情報」「チームデータ」などを答えてくれるという。複数人の声も識別可能で、中国6大方言もカバーしている。

一方、中国の国営通信社・新華社は、AIサービス「マジック」を公開。ロシアW杯の記事作成に採用すると発表している。マジックは、新華社の記事生成プラットフォーム「ブレイン2.0」をベースにしたもので、新華社とアリババが共同設立したメディアAI企業「新華智雲」が開発した。AIとビッグデータ技術を使って、コンテンツを自動生成するシステムおよびサービスである。

アリババと新華社は、大会期間中に「AIワールドカップニュース大会」も開催している。これは、大会参加者がAIを使って3分以内にW杯に関するニュースを作成。その精度と分析力を競うという大会だ。ニュースは一本あたり500~700文字で構成されてなければならず、作成された記事はリアルタイムで公開される。優勝賞金は約20万元(約340万円)だ。

今年のW杯では、ペナルティキックに繋がるファウルの有無、ボールがゴールラインを割っているかなど決定的な状況を判断するシーンで、複数台のカメラを使った自動判定システムが大活躍している。専門家や視聴者の間でも、大会初日から公平なジャッジが行われていると評判が良い。

テクノロジーは、スポーツ選手たちが公平な試合を繰り広げるため、また視聴者が興味深く観戦するための、より有用なツールとして普及し始めているようだ。

文=河 鐘基

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