ビジネス

2018.06.19

来たる信用経済、わたしたちの生活はどう変わっていくのか?

山口揚平(左)、藤代健介(右)


山口:多くの人は「経済=GDP」だと思っていますが、それは誤解です。経済の語源は「経世済民」で、それはつまり、世間で価値が循環し民が救われることなんです。

だから、流通するメディアとして、通貨を使うかどうかは自由であるはず。しかし、ほとんどの経済学者は通貨を経済の前提としています。

だから僕はその前提を白紙にして、「通貨に洗い替えしなくても経済が回っていること」を論文にし、「新しい時代のお金の教科書」を書きました。

藤代:ぜひ、Ciftでも参考にさせていただきたいと思っているのですが、非貨幣経済圏の世界観が成り立つ「前提」はなんでしょうか?

山口:個人の高い美意識と倫理観です。先鋭的な人ほど、信用が価値となり、貨幣になる世界「ギバー・テイクス・オール」の世界観を理解しています。

だからこそ、言語化・数値化することができない「信用主義」にコミットできることが分かっているのでしょう。

僕も軽井沢と六本木の2拠点で生活していて、いつも海外の人や受験生など、、いろんな人が勝手に住んでいます。
「友人がどれくらいいるか」が寿命を決める

山口:僕が東京大学に在学しているときにわかったことは、社会関係資本が人間の寿命に最も影響を与えるということ。タバコを吸ったりお酒を飲んだりするよりも、「友人がどれくらいいるか」や「職があるか」の方が大事である、と。

ただ、Ciftのような一定の同じ空間をシェアする人たちのコミュニティで危惧したのは、メンバーを変えづらいこと。会社もそうですが、一緒に暮らすからこその新陳代謝はすごく重要だと思っています。

藤代:たしかに、ずっと同じ価値観の人同士だけで滞留していると、宗教と捉えられかねません。Ciftは多拠点に依存することを入居者の前提としているので、コミュニティごとに意識をスイッチングできる。それが大きな強みだと思っています。

山口:僕の会社でも優秀な人は辞めて、さらに上に行ってしまう。寂しさを感じつつも、個人の自由度は担保しなきゃいけないから、藤代さんにも葛藤はあると思うんです。

藤代:そうですね。「個人の自由度の担保」と「全体の一体感の担保」におけるジレンマは永遠のテーマだと思います。

Ciftにはルールや規律がない。各々が考えるエチケットや良心のなかで共同生活を営んでいる。そうした中で、みんなが自由でありながらかつ一貫性を持つために必要なのは「自ら主体的に全体へ開き続け、他者ではなく自分が変容し続けることで全体を生成発展する意識と態度」というコミュニティーリーダーシップを全員が持つことなんです。

正直に言うと、山口さんがCiftに入居したら面白いと思っています。



山口:いいですね(笑)。

藤代:Ciftの住人は内省的な気付きを閉じていない。他のコミュニティで「自分」が得た気づきや経験を閉じないことで、Ciftでは「みんな」が成長する場に自ずとなっていく。

Ciftを一つの生命体とした時に、統合と分散が健全に新陳代謝される状態を目指したい。その過程で起こる気付きや経験価値を今後も社会に対して平和活動として閉じないでいけたらと思います。

今後の生活の中で、山口さんの貨幣論の在り方も参考にしながら本質的な価値の循環実験を実際にしていきたいですね。

文=奥丘ケント

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