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2018.06.20 10:30

スタバがまだない極東ロシアの「手づくりカフェ文化」

港に面したカフェマ中央広場店。手前のテーブルはウラジオストクを中心にした海外の都市名が記されている。

港に面したカフェマ中央広場店。手前のテーブルはウラジオストクを中心にした海外の都市名が記されている。

ロシア人は甘いもの好きで、ウラジオストクにはカフェの数がやたらと多い。とくに手づくり感覚の個性派カフェが多いのが特徴だ。なにしろこの町にはまだスターバックスがない。この種のグローバルチェーンが入り込んでいないことも、この街の魅力のひとつだ。

とはいえローカルの小規模カフェチェーンの店はいくつもある。坂道の多い港町の散策の合間に、ゆっくりとくつろげるスポットがどこにでもあるのは、実にありがたい。

この町にコーヒー文化を広めたローカルのカフェチェーンが「カフェマ」だ。どの店も席数はほどほどでこぢんまりとしているが、40種類以上のコーヒー豆があり、バリスタがその場で淹れてくれる。


ロシアの伝統菓子ブリャーニクとアメリカンコーヒー(ロシアではアメリカンが日本のブレンドに近い)

日本では1970年代頃から一般化したスタイルだが、同チェーンの創業は2002年。第1号店はウラジオストクではなく、極東ロシアのもうひとつの主要都市・ハバロフスクだ。現在では極東ロシアを中心に20店舗を展開し、ウラジオストクには4店ある。

起業はグーグルのやり方から学んだ

ロシアの飲み物といえば、広く知られているのは紅茶だろう。タイガの森でとれたフレッシュで濃厚なハチミツやジャムを舐めいただくのがロシアンティーの作法である(普通は紅茶自体にまぜたりしないそう)が、実はコーヒーの愛好者も多かったという。

カフェマの創業者ヴラジーミル・ヴィクトローヴィチさんは語る。

「ロシアでは昔から紅茶だけでなく、コーヒーも飲まれていました。各家庭にトゥルク(トルココーヒーをいれる道具)があったのです。いまでは世界中の国々と同様、コーヒー文化が人々を魅了しています」

ヴィクトローヴィチさんは昔からコーヒーが好きで、最初、海外から豆を仕入れて販売する仕事を始めた。しかし、そのうちカフェにも手を広げてみたくなり、「自分の好きなものを扱いながら、経済的にも利益を上げるという実験のつもり」で、現在のチェーンを開業したという。

カフェマでは、店に来たお客さんには、ただコーヒーを飲むだけでなく、心地よい体験もしてもらいたい。そのため、それぞれの豆の特徴を説明して、好きなものを選んでもらい、それをバリスタが淹れるというやり方を採用している。


「カフェマ」のバリスタ、マリアさん
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文=中村正人 写真=佐藤憲一 取材協力=宮本智

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