ビジネス

2018.06.18

テック投資拡大のロレアル、「デジタルは企業のあり方を変える」

ロレアルのチーフ・デジタル・オフィサー、ルボミラ・ロシェ (Photo by Getty Images)


ロレアルの生き残りをかけた戦略の一つが、動画を使ったマーケティングだ。同社の動画は今年に入ってから14億回再生されており、2億5000万のSNSフォロワーがいる。ロシェによると、「消費者に最も支持されているのが動画。マーケティング担当者たちは、従来の30秒CMよりも、インスタグラムのストーリーのような短い動画やインフルエンサーによる動画に注力するようになっている」という。

消費者が好む動画の視聴環境やフォーマットは地域によって異なる。アメリカや中国などの大国で人気のフォーマットに対応しているだけでは、世界で通用しない。

「インドのような成長著しい新興市場を無視することはできない。また、ブラジルやインドネシア、中東の国々では、人々はwebサイトを経由せずに直接フェイスブックやインスタグラム、あるいはローカルなSNSを観覧する。それぞれの地域文化に合わせたデジタル戦略を練るのは、面白い仕事だ」

ロシェはまた、同社がデジタルマーケティングを重視する背景には、近年のEコマースにおける収益増があるという。ロレアルのオンライン売上はこの5年間、前年比30%増の飛躍を見せている。昨年は20億ユーロ(約2560億円)を超え、グループ総売上の8%を占めるまでになった。

デジタル戦略を強化するため、ロレアルは約2000人のデジタル人材をリクルートしたばかりか、在籍する1万5500人の従業員にデジタル技術のスキルアッププログラムを受講させている。

ロシェは言う。「デジタルはロレアルの経営の核を担うもの。(デジタル技術は)『あれば有利』なものではなく、企業のあり方を根本的に変える力を持っている」

Modifaceの後にもロレアルのテック系スタートアップの買収は続くことだろう。

編集=海田恭子

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