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3. ICOによる過剰な資金調達

ブロックチェーン領域では、資金調達手段としてICO(新規仮想通貨公開)の人気が高まっている。その理由は、従来の資金調達方法に比べてはるかに面倒が少ないからだ。しかし、問題なのは、ベンチャーキャピタルが厳しいデューデリジェンスを行うことでリターンを得る確率を高めているのに対し、ICOにはこうしたプロセスが存在しないことだ。

また、ICOでは必要以上の資金が調達できてしまうことも大きな問題だ。筆者はサンフランシスコで長年ベンチャーキャピタリストをしているが、過剰な資金調達は資金ショートと同じくスタートアップが破綻するリスクを高める。資金過多な企業は財務の規律が緩み、短い期間に多くの社員を雇用したり、支出が増え過ぎたり、焦点の定まらないプロダクト開発を行うことが多い。

ソフトウェアスタートアップであれば、プロダクト開発に多額の資金を必要としないが、ICOはホワイトペーパーだけで何億ドルも調達できてしまう。創業者にとっては喜ばしいことかもしれないが、規律が緩むことで事業が失敗に終わり、投資家はリターンを得ることができないかもしれない。

全てのICOが悪い投資という訳ではないが、現実の厳しさを味わう覚悟が必要だ。ベンチャーキャピタルですら投資の大半が失敗に終わるのだから、厳しい精査をしないICOの成功確率がさらに低くなるのは当然だ。

4. 規制の適正化

過度な規制はイノベーションを妨げるが、規制が全くないのも問題だ。ブロックチェーンは、資金の移動や契約の締結、証券の発行など、既存の法律や規制のフレームワークに関わる分野で既に利用されている。これらのフレームワークは何十年も前に策定され、最新のテクノロジーに対応できていないことが多い。

ブロックチェーン・エコシステムの参加者は、立法者や規制当局者がブロックチェーンに対する理解を深め、普及を後押しするようなフレームワークにアップデートできるよう協力していくことが必要だ。

5. サイバーセキュリティ

あらゆるデジタル領域においてサイバーセキュリティは大きな課題だが、ブロックチェーンを活用したサービスにおいては特に困難な問題となっている。進化を続けるサイバー攻撃に対応するだけでなく、基盤となるエコシステムが他の領域に比べて格段に速いスピードで変化していることがその理由だ。

毎日のように新しいブロックチェーンシステムやサービスが開発されている。変化がそれほど激しくない業界であれば、サイバーセキュリティ企業はハッカーよりも情報面で優位に立つことができるが、ブロックチェーンではそうはいかないのが実情だ。

編集=上田裕資

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