ワークライフバランスという課題
大企業の残業時間短縮の動きが進まない一方、ブルーイノベーションのようなスタートアップ企業では、ワークライフバランスを推進し、残業を減らす動きも進んでいる。熊田によると同社ではフレックスタイム制度をとり、リモートワークも導入しているという。
日本の残業の問題を解決していくうえで重要な役割を果たすのは、大企業よりもスタートアップ企業といえそうだ。ソフトウェア関連のスタートアップ「ヌーラボ」のCEOで創業者の橋本正徳はこう述べる。
「スタートアップの大半はチームによって成り立っており、会社を立ち上げた時点からCEOは共同創業者の意見に耳を傾ける必要がある。それにより、オープンな企業カルチャーが自然に醸成される」
スタートアップには大企業のように残業時間で社員を評価する風土はなく、生産性こそが重要な指標とされる。結論としていえるのは、残業問題を解決するのはドローンを活用した監視システムや政府のプログラムではないということだ。ワークライフバランスの改善こそが、利益を生みビジネスを発展させていく。スタートアップがその実例を社会に示していくことが、日本企業の残業を減らすことにつながるのだ。