デザイナーと経営


━━なぜ、ユニ・チャームと組むことにしたのですか?

グローバルでサービスを展開していく上でユニ・チャームの力は大きいです。すでに足回りがしっかりした状態でグローバル市場に挑戦できたのですから。

一方、ユニ・チャームは、我々のデジタルサービスの開発力に魅力を感じてくれています。日本の大企業全般に言えることですが、デジタルシフト促進に関して内部だけではなく、協業する形で実現するのはこれから増えていく方法だと思います。

また、企業が新規事業に乗り出す場合は、スモールスタートの割には確認プロセスが多いケースが少なくありません。ですが、今回は独立した会社の中に大企業の人を呼んでいるので、意思決定がスピーディー。大企業と組む場合でもスタートアップのように独立した状態で話を進めるのは意思決定プロセスを高めるために有効な手段です。

社内政治ではなく、ユーザーのことだけを考え続けろ

━━坪田さんのようにデザイン思考を武器に働くためにはどうすればいいのでしょうか。

最近、企業からいただく相談で一番多いのは、ビジョンがありエンジニアも居るけど、具体的にどんなインターフェースでユーザーに提供すれば刺さるのかわからないというもの。そこで僕は表現の例を提案するのですが、その際、プロトタイプを2週間くらいでパッとつくってお見せしてしまいます。アイデアの発案から開発までをクイックに回せる人は多くありません。

これができればだいぶ重宝されるのではないでしょうか。とはいえ、そのためにどうすればいいのかは言語化できないんですが、体型化や数値化できない「サービス感」のようなものがなければいけないのかな、と。

━━それはどうすれば身につくのでしょうか?

正直、先天的な気もしています。僕が教えたわけでもないのに、一緒に働いているうちにそれがメキメキ伸びる人も時折います。その素養が元々あって実現したい想いがあれば技術は後からついてくるような気がします。

ひとつわかっているのは、自分が関わっているサービスが好きで、その領域に対して研究を続けることができる人は、蓄積が増えて何が適切なのかを判断できるようになっているということ。そういう意味では事業体によって内実は違うはずです。



━━なるほど。

ただ、デザイン思考の文脈としては実際にサービスを評価するユーザーが必要とするモノが何なのか。それを考え続けることが大事だと思っています。

サービスを評価するのはユーザーであって、自分や社内の人間ではない。そういう意味で、僕が唯一信じているのはユーザーだけです。その力があればニーズのあるプロジェクトに自分を売り込むことができるので、理想のキャリアを歩めるようになるでしょう。

社外の人から指名される働き方をするのが有効です。いまはSNSやブログなど情報発信できるツールはたくさんあるので、どんどん自分のスキルをアピールすればいい。そうすれば、「一緒に仕事したい」と声をかけてもらえるようになるはずです。

自分の経験上、技術情報の価値を対外的に公開していく事が大事で、外のセミナーで話す、ブログを書く、アウトプットを公開する、を実践し続けると3社くらいから声がかかる気がします。会社内で閉じずにオープンな動きをすると、自ずとキャリアの幅も広がっていくでしょうね。

構成=野口直希 写真=小田駿一

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