もはや夏の風物詩ではない 「365日ブーム」のかき氷の魅力

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「夏の風物詩」と言われるように、多くの方にとっては今でもかき氷は「夏の食べ物」かもしれません。ただ、こうしたかき氷専門店に足しげく通う方々にとっては、かき氷のベストシーズンは必ずしも夏ではないというのも注目ポイントです。

夏には柑橘類などサッパリとした果物が蜜の中心で、秋や冬にはサツマイモや栗、かぼちゃなど旬を使ったかき氷。自分の好きな蜜が旬を迎える季節が、その人にとってのかき氷のベストシーズンに変容しているのです。

またこの蜜のバリエーションが増えたことにより、そのビジュアルも多種多彩となり、「インスタ映え」を求める女子たちが飛びついたのもブームに大きく寄与しています。

愛すべきレトロな不便

かき氷は、シャリシャリと手動で氷を削る音も、運ばれてくるのを待つ耳に心地いいものです。デジタル化し便利な物が揃う今、かえって手作り感のあるレトロさは、「不便さ」を愛おしく思う感情につながっているようです。

また、かき氷は「溶けてしまう」という性質や店の「盛り方のこだわり」といった理由から、お取り寄せもテイクアウトもできません。つまり、食べるためにはお店まで足を運ばねばならないのです。しかも、かき氷の名店は日本各地に点在していますが、アクセスも良いとは言えない店も多々あります。

それでも、「わざわざお店に行くしかない」という面倒さが、「体験しないと味わえない」というモチベーションとなり、人々を引きつけている。そこには、かき氷を「食べる」ではなくかき氷を「食べに“行く”」というモノからコトへの消費対象の変化もあるように思います。

ふんわりとした天然氷と、目にも鮮やかな手作りの蜜で食べる人を虜にするかき氷。意外や意外、奥深く進化を続けています。まだトライしていない方も、ぜひこの夏を機に試してみてはいかがでしょうか?

連載:経済を動かす「女子」の秘密
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文=山田茜

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