米国テック業界のCEOたちが読む「成功のために必読の本」

(Photo by Chesnot/Getty Images)

テクノロジー業界を率いるCEOたちの多くは読書家として知られ、様々な書物を人々に薦めている。

2015年にマーク・ザッカーバーグが必読書として推薦したのが、世界銀行理事を務めたモイセス・ナイムの著作「権力の終焉」だった。彼は物理学者のデイヴィッド・ドイッチュの「無限の始まり : ひとはなぜ限りない可能性をもつのか」をはじめ、人種やジェンダー関連、医療や社会学など、様々な分野の書籍を薦めている。

アマゾンのジェフ・ベゾスも2013年にブックリストを公開し、「イノベーションのジレンマ」(クレイトン・クリステンセン著)や、「ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則」(ジム・コリンズ著)など、起業家向けの書籍を数多く紹介した。

アップルのティム・クックは伝記的著作を好むことで知られ、ロバート・ケネディ元米国司法長官の伝記を愛読書にあげている。イーロン・マスクはお気に入りの本として物理学者のジェイムス・エドワード ゴードンが書いた「構造の世界―なぜ物体は崩れ落ちないでいられるか」をあげている。

しかし、テクノロジー業界の起業家で最も読書家として知られるのがビル・ゲイツだ。彼は自身のブログで2010年以来、合計185冊の本を推薦してきた。そのゲイツが6月5日、2018年の春に米国の大学を卒業した人たち全員に1冊の本をプレゼントすると発表した。その本とはハンス・ロスリングの著書「ファクトフルネス」だ。

統計学者のロスリングスはこの本を通じ、歴史的事実を踏まえ、未来に対する悲観的な見方を払拭しようとしている。ゲイツはこの本を推薦する理由として、「大学を出て実社会で働きはじめる人々たちは、市民の義務として投票にも出かけるべきだ。そのためには事実の重要さを認識し、周囲の誤った認識に振り回されないことが大切だ」と述べている。

今回、大学卒業生らに無料プレゼントされるのは「ファクトフルネス」の電子書籍版だ。マイクロソフトは先日、同社のブラウザ「Microsoft Edge」をアップデートし、iOS版ではブラウザ内で電子書籍が閲覧可能になった。ゲイツのプレゼントはブラウザのプロモーションとしても、最適なタイミングだったといえそうだ。

編集=上田裕資

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