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脇 雅昭 / よんなな会代表
──ギャップ×信用力を強みに 公務員を地域のハブにする

公務員は意思決定に時間がかかり、動きが悪い。これが一般的なイメージです。でも、実は公務員のなかにも「まずはすぐにできることから着手し、一個一個積み上げていこう」と、民間と手を組んで動き出している人も多くいます。

その好事例が、四国財務局の若手プロジェクトチーム。現在、財務省は大変な非難をあびていますが、その地方支分部局である四国財務局の若手職員11人が自発的に集まって、地域を盛り上げるためにチームを組んだのです。

彼らは、香川大学の学生に呼びかけて、地域活性のプロジェクトを企画しました。その内容は、小豆島の「迷路のまち」を利用して、空き家を利用した民泊への観光や宿泊を促そう、というもの。この政策アイデアを内閣府主催の「地方創生☆政策アイデアコンテスト2017」に応募し、見事、最優秀賞の地方創生担当大臣賞を受賞しました。

いま、地元の複数の民間企業や町役場の人々が続々と集まり、実現に向けて動いています。

財務局は、経済調査、地方公共団体への融資など、手がけている業務の幅が広い。地域の人々と接する機会も多く、情報をたくさん持っています。財務局に限らず、多くの地方公務員が、同じように地域の情報をたくさん持っている。だから、地域の公務員こそがハブになって、地元の学生や民間企業をマッチングさせれば、加速度的にプロジェクトが進行していくのです。

彼らが強みにしたのが、公務員への信用力。公務員は、自分の利益を追求できないので信頼をいただいています。たとえば、町おこしの協力を求められたとしても、地元の人々は「公務員の仲介なら信頼できるかな」と、ついてきてくれる。だから、ハブになりやすいんです。

しかも、ギャップの力は大きく、動きが悪いと思われがちの公務員が機敏に動くと、街の人々はその意外性から、かえって好感をもってくれます。

また、四国財務局が成功したもう一つのポイントは、プロジェクトの中心を大学生にしたこと。大学生や若者ががんばっている姿を見ると、なぜか自然と周囲の大人は彼らに協力したくなるものです。財務局は、学生にRESAS(地域経済分析システム)の使用方法をはじめ資料作成、論理構成のノウハウを伝授するなど、裏方の役目に徹しました。

あらゆる人を巻き込んで地域全体で取り組んでいく過程において、若者や学生が起爆剤となり、潤滑油として公務員がいて、地域の人々をつないでいったのです。

補助金よりもクラウドファンディングに可能性を感じています。補助金は、出す側も、受け取る側もお金が一過性のものになる。クラウドファンディングは、出資者も地域に関心を持ち続けるし、受け取った側にも責任感が芽生える。お金が、きちんと持続的な活動に使われていくのです。

構成=山本隆太郎、吉田 彩乃

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