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2018.06.18 08:30

変化に強い「俊敏な組織」をデザインする秘訣

shutteratakan / shutterstock

「組織は戦略に従う」とは、歴史学者アルフレッド・D・チャンドラー Jr.の言葉で、邦訳書のタイトルにもなっている。経営に用いられる多くの用語と同様、「戦略」とはもともとは軍事用語からきている言葉だ。長期的、全体的展望に立った闘争の準備のことを指し、具体的な遂行策をたてる「戦術」よりも上位概念といえる。

戦国時代の日本における織田信長に例えるならば、「天下統一」が目的あるいはビジョンにあたり、どの国と手を結び、どの国と戦うかを描いた構想が「戦略」にあたる。そのうえで、戦う相手(国)を定めたならば、その国とどう戦うかという具体的な計画が「戦術」といえるだろう。

つまり「天下統一」というビジョン実現のための戦略を描いた後は、その戦略に沿った幹部武将を登用し、戦略どおりに攻めることができる体制をつくっていくことになる。組織づくりは国を主語にした際には戦術の一つといえ、戦略に沿って最適体制を組んでいくことになる。

さて、では「組織」とは何であろうか。様々な定義はあるが、堺屋太一氏の『組織の盛衰』には次の5要素が挙げられている。

1. 構成員がいる
2. 何らかの共通の目的と共通の意思が存在する
3. 一定の規範、倫理と美意識の共通性
4. 命令と役割が存在する
5. 共通の情報環境

この5要素を具備していても、組織形態としては様々な形がある。一般的に「機能別組織」「事業部制組織」「マトリクス型組織」「プロジェクト型組織」などがあげられるが、近年は「ホロクラシー型」「ネットワーク型」などさらに多様な形態も見られる。

あくまで形態を便宜的にわけた言い方であり、実際は戦略を実現するための最適な組織を、各社が工夫してつくりあげているものが組織形態といえよう。

なお、組織の形態は、中央集権的になったり、分権的になったり……というように揺り戻しがつきものである。たとえば友人3人で起業したばかりの組織はフラットな関係性にあったが、人が増えてきて階層・役割が分化し、機能別組織ができる。

さらに大きくなると、部門ごとの責任の明確化を求めて事業部制組織をとる。しかし行き過ぎた事業部制により部門間の壁が生じたため、全体最適をするために機能別組織に戻す、といった具合だ。

組織づくりが戦略実現の手段と考えれば、当然ともいえる。戦略は大局的に示されるが、取り巻く環境・状況は刻々と変わる。組織形態は常に変化を捉え、その中で最適なものにしていく必要がある。
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文=堀尾司

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