ビジネス

2018.06.18

変化に強い「俊敏な組織」をデザインする秘訣

shutteratakan / shutterstock


変化するのは周囲の環境だけではない。人員構成を含む自社の保有リソースも変化する。理想的なのは先回りして変化をよみ、そこにあわせた組織づくりをしていくことだろう。そのために先行的な採用や登用をすることができるかどうかは、組織力強化にとって重要である。

一方、前述した堺屋氏は同じ著で、組織の陥りやすい課題も指摘している。

1.「組織を作る目的」と「作られた組織が持つ目的」が必ずしも一致しない
2. 全体の手段が部分の目的になる
3. 組織の目的と組織構成員の目的が異なってくる

こうした状態は大局的にも部分的にも頻繁に起こりがちだが、戦略を実現する組織になりきれていないというリスクのほかに、柔軟に環境変化に対応できなくなるリスクも抱えてしまうことになる。「組織は戦略に従う」ことを忘れ、環境変化を取り入れた柔軟な組織づくりではなくなってしまう可能性があるからだ。

そもそも経営は「環境適応行動」と指摘する学者もいるように、取り巻く環境に応じて戦略を定め、組織の体制をはじめとする戦術へと連鎖されていく。

変化を取り込むと組織にはコンフリクトがつきものであるが、変化を取り込まないと企業は生き残っていけない、ということを大前提とした際に、変化に先回りして対処しながら、大局的な視点で目的遂行を進める意識が重要といえる。

組織は“常に動的”だと思ってデザインすることが、実は戦略遂行の大きな一助になっていくのではないだろうか。アジャイルな観点での組織戦略や組織デザインが求められていると考える。

連載 : 人事2.0 ──HRが作る会社のデザイン
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文=堀尾司

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