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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

「地域を救う人、事業」。毎年、この特集で気づかされる「人間の本能」がある。小さな可能性を見つけて、それを広げる努力ができることだ。環境は千差万別。忘れ去られた伝統や習慣から最先端のテクノロジーまで、ヒントは全国に落ちている。アドバイザリーボード10組が推薦・投票した全国の事例から、得票数が高かったものを全6回に分けて紹介しよう。第5回は中国・四国地方。


鳥取県八頭町 / シーセブンハヤブサ
──「ソーシャルxビジネス」の融合は廃校舎から始まる

フリーランスのアートディレクターだった古田琢也は、2014年に地産地消飲食店&コミュニティスペース「HOME8823」をオープン。その後、彼はトリクミという会社を立ち上げ、飲食事業やゲストハウス事業を運営しながらまちづくりに取り組んできた。

こうした活動が周知され、元ワイジェイFX社長である伊藤慎佐仁の社会的インパクト投資ファンドや鳥取銀行など、7社の共同出資で生まれたのがシーセブンハヤブサだ。同社は、大企業、ベンチャー、住民組織、銀行などの協力によって生まれた公民連携複合施設「隼Lab.」を運営する。

ラボには1階にコミュニティスペースやカフェ、2階と3階には、地域の課題解決に取り組む12の企業が入居するシェアオフィスとコワーキングスペースを配置。ソーシャルとビジネス、両方の機能を施設内に同居させ、八頭町発の起業を促進。地元からの上場企業輩出を狙う。

岡山県西粟倉村 / エーゼロ
──日本各地に派生中! 林業の村を変えた起業家プログラム

西粟倉村は人口約1500人、面積60平方キロメートルに満たない小さな村。平成の大合併を拒み、世代を超えて森を残すことを選択したこの村の林業を再生した立役者の1人が、2009年に「西粟倉・森の学校」を設立した牧大介だ。

彼らは村の95%以上を占める森林を生かした木造製品のプロデュースを行うと同時に、起業志望者を集めて村をローカルベンチャーの集積地に。本人の希望を尊重したうえで事業内容をブラッシュアップさせ、専門家をはじめとするサポートチームをあてがう独自の起業支援によって30を超えるベンチャーの立ち上げに成功した。

地域に誕生した企業の売上合計は約15億円にも上る。牧は16年からはエーゼロの代表として、西粟倉村で培ったベンチャー育成ノウハウを全国に輸出し始めている。北海道厚真町では、すでに5社以上のローカルベンチャーが立ち上がっている。

香川県高松市 / ことでんグループ
──演劇から文学まで。鉄道会社が芸術を生みだす理由

交通インフラから豊かな暮らしを実現する─。2001年に経営破綻に陥った「ことでん」こと高松琴平電鉄を父親との二代で再生させ、16年度には地方民鉄50社の中で鉄道利益1位を達成したのが、代表の真鍋康正だ。

特徴的なのは、走行中の車内で演劇を披露する「ことでんスリーナイン」や、ことでんをテーマにした文学賞「ことでんストーリープロジェクト」など文化的な施策を取り入れた点。利用者の増加はもちろん、市民に「なぜ公共交通機関を使うのか?」を考えてもらうのが狙いだ。


真鍋が支援する無人物流企業「かもめや」のドローン

また、真鍋はエンジェル投資家としてドローン物流サービスやクラウド型タクシー配車サービスに出資。新たな交通のかたちを模索している。「お堅いイメージになりがちな公共交通事業をさまざまなアイデアが花開く『プラットフォーム』に転換させることで、新しい地域の経済圏をつくっている」(脇雅昭)。

文=Forbes JAPAN 編集部

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