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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

「地域を救う人、事業」。毎年、この特集で気づかされる「人間の本能」がある。小さな可能性を見つけて、それを広げる努力ができることだ。環境は千差万別。忘れ去られた伝統や習慣から最先端のテクノロジーまで、ヒントは全国に落ちている。アドバイザリーボード10組が推薦・投票した全国の事例から、得票数が高かったものを全6回に分けて紹介しよう。第4回は近畿地方。


和歌山県田辺市 / TETAU
──地域を「ジブンゴト」にするクリエイター集団

和歌山県の南に位置する紀南地域。太平洋に面した和歌山第2の都市・田辺市では、クリエイティブの力を使った地域創生プロジェクトが行われている。率いるのは「TETAU」。デザイナーやフォトグラファー、イラストレーター、ライター、プランナーといった個人事業主のクリエイターがプロジェクトごとに集まり形成されるチームである。

彼らはフリーペーパーとウェブマガジンで地域の情報を発信する『紀南 Good』、一般の参加者とともに地域課題の解決策を話し合うワークショップ「地域をてたうセッション」、地域発の日本酒ブランドを開発するといった体験型のイベント「地域をてたうプロジェクト」を通して、官民の垣根や業種を越えた人々が集う、有機的なコミュニティをつくっている。

「地域をジブンゴトに」をテーマに、地域の人々がさまざまなプロジェクトにかかわれるプラットフォームを築いている。

兵庫県小野市 / シーラカンス食堂
──「そろばんの街」を救った伝統産業のリ・デザイン


そろばんをモチーフにした時計

神戸から車で1時間の場所にある小野市。かつては「そろばんの街」と呼ばれるほどそろばん産業が栄えていた地域だが、時代とともにその需要は減少。職人は高齢化し、後継者もいない。

その様子を見て、デザイン会社シーラカンス食堂の代表・小林新也は思った。「地域の伝統産業を後世に引き継ぎ、守っていきたい。ビジネス手法を変えることでもっと魅力的なものにできないか」。

彼らはそろばんをモチーフにした時計や玩具などの商品企画やそろばんづくりを体験できる店舗設計を通じて、そろばん企業の売上を回復させることに成功。また同じく衰退しつつあった地元の金物産業においても、「播州刃物」というブランドをつくることで国内外の販売数を増加させた。

価値はあるのに、その良さが発信できていないために存続の危機に直面している伝統産業を救ったのは、「伝え方」のデザインだった。

大阪府大阪市此花区 / SEKAI HOTEL
──「まちごとホテル」はいかにして地域をコンテンツに変えるのか?


客室のひとつ「満月」のリビングルーム

空き家をリノベーションし、それらを客室にすることで街全体をホテルにする─。2017年6月に大阪・西九条にオープンした「SEKAI HOTEL」は、日常=ordinaryにこそ体験すべき価値があるとのコンセプトから生まれた“まちごとホテル”だ。

フロントを中心にした半径200〜300mのエリアに、現在10部屋が点在する。宿泊客には、SEKAI HOTELが提携する近隣の銭湯や喫茶店、たこ焼き屋を無料で利用できる「SEKAI HOTELパス」を配布。提携先の商店はSEKAI HOTELから料金を受け取ることで、外からのお金が地域を巡るしくみをつくっている。

「SEKAI HOTELそのものが、国内外の観光客が楽しめる『地域のコンテンツ』になる」と代表の矢野浩一は語る。SEKAIHOTELは18年夏に大阪・布施に、20年には北海道や神奈川を含む計5拠点にオープンする予定だ。

文=Forbes JAPAN 編集部

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