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2018.06.18 12:30

地域通貨、シェアビレッジ 「北海道・東北」を救う人、事業

「地域を救う人、事業」。毎年、この特集で気づかされる「人間の本能」がある。小さな可能性を見つけて、それを広げる努力ができることだ。環境は千差万別。忘れ去られた伝統や習慣から最先端のテクノロジーまで、ヒントは全国に落ちている。アドバイザリーボード10組が推薦・投票した全国の事例から、得票数が高かったものを全6回に分けて紹介しよう。初回は北海道・東北地方をピックアップ。


青森県八戸市 / 八戸学院大学
──八戸とフィリピンの難題を掛け合わせる、人材育成型ソリューション

型破りな「ジーパン学長」として、定員割れだった八戸学院大学をV字回復させた大谷真樹が、次に挑戦するのは青森とアジアの課題を同時に解決する、壮大なスケールの計画だ。

まず、同大学とフィリピンの語学学校が共同で人材育成サービス「八戸学院グローバルクラブ」を設立。フィリピンに日本での就職を視野に入れた中高一貫校「八戸学院カーテル高校」を開校し、専門教育と日本語を教えている。卒業までに八戸の介護関連やIT企業に内定させて、八戸学院大学に留学。留学中の奨学金とアルバイトを企業に保証させる仕組みだ。

日本の課題である介護・ITの人材不足と、新興国の就職難を同時に解決する「八戸モデル」が成功すれば、全国展開に道が開ける。大谷は起業したITベンチャーをヤフーに売却した実績をもつ。国境を超えて難題を掛け合わせる、新たな手法である。


八戸学院カーテル高校では日本語教育、日本文化教育を行う。八戸学院グローバルクラブを利用し日本で働きたい生徒が多い。

福島県会津若松市 / 会津若松市+アクセンチュア+会津大学
──市民のディープデータから社会基盤をつくる

ブロックチェーン型地域通貨「白虎」が使われる会津大学は、日本で唯一のコンピュータサイエンス専門の公立大学だ。同大学と、会津若松市、アクセンチュアの三者が連携しているのが、日本で最も先進的と言われているスマートシティモデルである。

エネルギー、観光、ヘルスケア、教育、農業、フィンテック、移動手段の7領域において、市民から詳細な情報=ディープデータを受け取り、社会基盤の構築に活用する。

例えば、個人宅1200世帯に消費電力計測器を設置し、どの家電がいつどのくらい電力消費をしているかデータを取り、個人にアプリでデータを返すことで、それらの家庭では27%の省エネが実現。また、ウェアラブルデバイスから採取する高齢者などのデータを、医療に生かす。データ・アナリティクスは場所を選ばないため、東京一極集中を緩和する、高付加価値の次世代産業に育てていく。

秋田県五城目町 / シェアビレッジ町村
──「年貢」で循環経済「シビックエコノミー」をつくった村

「年貢」を3000円払えば、誰でも「村民」になれる。この「シェアビレッジ」構想で有名になったのが、秋田市街から北に車で40分、八郎潟の内陸の五城目町にある「シェアビレッジ町村」だ。全国からおよそ2000人の「村民」が訪れて、築135年の茅葺き屋根の古民家民宿に宿泊し、郷土料理をつつき、農業の手伝いなどをする。田舎のない都会人ほどリピーターになる。


シェアビレッジには年間3000円の「年貢」を払うことで村民になれる。宿泊は1泊3000円。農業体験やイベントも多数。

田舎そのものをシェアする仕組みをつくったのが、4年前に五城目町に移住した、「ハバタク」代表の丑田俊輔や地域おこし協力隊として活動する柳澤龍たちだ。田舎というソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を利用した事業創出を行っており、50人が移住。

伝統産業や幼稚園運営の仕事に就いたり、自転車ツーリズム、ITの開発、カフェ、パン屋を起業するなど、循環型の小さな経済「シビックエコノミー」を築いている。

文=Forbes JAPAN 編集部

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