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2018.06.12

ノキアからヘルスケア事業を「買い戻した」起業家の告白...

Mascha Tace / shutterstock.com


カレルは2016年のノキアへの事業売却に反対だったが、投資家や他の取締役はリターンを確保するために売却を強く望んだ。カレルは、Withingsをいくらで買い戻したか明らかにしていないが、ノキア傘下で業績も製品ラインナップもほとんど拡大していないことから、彼が売却したときよりも安い価格だったと思われる。

一度手放した事業を復活させることは珍しくない。ノキアもかつてマイクロソフトに携帯電話事業を72億ドルで売却したが、2年後の2016年5月にノキア出身者らが設立した会社などのコンソーシアムが3億5000万ドルで買い戻した。

ノキアは世界最大の携帯電話会社として君臨したが、最近では保有する2万6000件もの特許を他社に提供してライセンス料を受け取ることに注力している。同社の技術責任者が最高法務責任者を兼任したり、リスクの高いハードウェア市場への再参入に積極的でないのには、そうした背景があるのだろう。

新たな資金調達へ

カレルはWithingsを買い戻す資金をどのように調達したか明らかにしていないが、彼はこれまでに複数の企業を売却しており、多額の資産を保有していると推測される。

今後は消費者向け健康機器の開発に加え、健康データを収集・分析し医療機関などに提供するビジネスを構築するという。その例としてカレルが挙げるのが、2014年にAmerican Medical Groupとの間で締結したパートナーシップだ。Withingsは、18カ月間に渡って患者150名の血圧を測定した。

「我々の製品が健康プログラムや健康保険会社、医師によって活用される可能性がある」とカレルは話す。この目標を実現するため、今後1年以内に新たな資金調達を行う予定だという。

「昔の投資家とは今でも良好な関係を保っているが、まだ何も決まっていない」と彼は話す。かつて事業売却を迫った投資家に再び出資を依頼するのは気が引けないか尋ねると、「そうだが、それも人生だ」とカレルは笑って答えた。

編集=上田裕資

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