ビジネス

2018.06.17

情熱のある人に共通する「行動と未来の捉え方」

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たとえば企業の経営者で毎日スケジュールが埋まって走り続けているのに情熱が静まっている人は何なのかというと、行動をしているように見えて実は「静的な行動」になっています。

物理の慣性の法則のように、人は過去の初速さえあれば、慣性で行動ができてしまうものです。たとえば毎日忙しく仕事に取り組んでいる人でも、自分にできるとわかっていることだけをやり続けることはできますが、それは電車に座ってる人と同じようなものです。

端から見たら動いているように見えても、昨日の自分、1カ月前の自分、一年前の自分と比べると動いていないという「静的な行動」をしています。その場合は初速が伴っておらず、情熱も生まれません。

法人も同じで、動いてるように見えて静的な動きの場合、明らかなことのみを惰性で取り組んでいるうちは情熱が生まれることはありません。

情熱があるから進化するのではなく、常に進化し続けようとすると情熱が溢れてくるということです。

年を重ねるほど情熱が湧きにくくなる理由

もちろん年配の方で情熱的に生きている方もたくさんいらっしゃいますが、一般的には年齢を重ねるほど情熱は湧きにくくなってきます。

生物学的に老化とは、修復システムが衰えていくことによってDNA損傷や老廃物の蓄積などの風化作用に徐々に負けていくプロセスですが、それと似たようなものだなと思います。

未来を描く力と、それに対する初速のバランスが取れなくなってきます。たとえば何かで世界一になりたいと思っても、小学生なら初速を持って行動できても、50代になるとどれだけの初速をもってしても体力的・時間軸的に不可能になってきます。それと同じように、大きな夢との釣り合いが取れなくなってくるのだと思います。

ツァラトゥストラは「君の最高の希望を聖なるものとして持ち続けよ」と語っていますが、つまりここでいう「未来の差分」を描き続けるということはやはり大事なのだというです。

情熱が脈動する、鮮麗な世界に生きるため

もし最近、個人的に情熱がたぎるような出来事がなかったという人がいれば、情熱がある人のそばにいって差分を分けてもらったり思い出したり、まず初速を出してみるといいのではないかと思います。

もとの命題に戻って、人類の継続的な幸福の達成のために私たちができることを考えると、未来的差分を発信して行動することも一つの解だと思いました。

たとえば起業家なら「こんな世界も創ることができる」と、生命科学者なら「ここまで生命の可能性を広げることができる」と、宇宙飛行士なら「人類はここまで未踏の地に行ける」と、政治家なら「こんなにいい社会へと変えることができる」と、未来の差分を世界に映し出し、それを自分がやるのだと初速を出して生きていく、ということです。

情熱が響く世界に生きていたいなと思いつつも、周りには情熱を燃やしている人が多く、大袈裟かもしれませんが皆さんと同じ時代に同じ星に生まれてよかったなと、心から思っているところです。そんな鮮麗な世界に生きることを愛しながら、初速を出して生きていこうと改めて思いました。

連載 : ゲノム解析の女性起業家が考える、私たちの未来
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文=高橋祥子

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