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2018.06.17

情熱のある人に共通する「行動と未来の捉え方」

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いい未来を思い描く想像力が高い人に行動力がある人が多いのは、未来における差分が頭の中で明確に描けるからです。もし現在の生活に十分満足しており、未来もそうであるという「現在=未来」の状態なら行動を起こす必要はありません。

また、その差分を頭の中でイメージできたとしても、現在の行動の初速がそれに伴っていなければ情熱は生まれません。逆に、私の起業のように行動を起こすことによって、未来の差分が見つかったり、見えやすくなったりすることもよくあります。

よく揶揄される「意識高い系」の人は、差分を語れても行動の初速が伴っていない人だなと思います。

またたとえば、企業や組織の中で働いていて、自分が行動してもしなくても結果が変わらないとわかっている環境のときに情熱が生まれないのは、未来の差分が見えたとしても、その差分の解消に対する初速をつくることができないからです。もし差分を描けているのであれば、それに向かって初速を出せる環境にさっさと身を置いた方がいいです。

「考えるより行動を」という話もよくありますが、私の認識では半分正解で、初速を伴う行動を起こすこと、かつそれが未来における差分解消に向かっていくという「差分+初速」の行動が情熱を生むと考えています。

未来差分を構想する方法

周りの経営者や研究者にヒアリングしていて気付いたことの一つは、いい未来を想像して現状との差分を想像するのがうまい人と、意識的に「差分づくり」をしている人がいるということです。

前者の「差分を作るのがうまい人」は、たとえば合成生物やバイオロジカルテレポーテーションに取り組んでいるクレイグ・ベンターや、テスラやニューラルレースのイーロン・マスクなど、コンセプトメイキングがうまい人です。日本の起業家にもそういうタイプの人がいますが、発想力が高い人は未来差分を頭の中に常に明確に描いています。

また後者の「意識的に差分作りをしている人」でいうと、自分より先端を行っている、あるいは規模の大きい企業や経営者の情報を収集することで、自ら目線を上げることを意識して行っている人もいます。たとえば、人に会って刺激を受けるのも、差分が自分にとってより明確になるからです。熱は炎のように伝染するという話を以前書きましたが、それも同じような原理だと考えています。

私個人が意識的に行なっている差分の作り方は最先端の論文を読むことで、世界にはこんなにも天才が全力で新しいことを取り組んでいて成果を上げているのかと思うと、圧倒的な差分が見えてきてわくわくしてきます。逆にどうしようもなく辛い出来事があっても、未来差分を思い出すことで何度も再起してきました。

静的な行動と動的な行動の違い

もう一つの「初速」という要素について、本来大事なのは初速だけではなく、継続的に進んでいくことですが、主観的に捉えると常に現在が0時点なので、現実的には常に初速が大事となってきます。

行動の初速といっても、気をつけなければいけないのは、静的な行動と動的な行動は異なるということです。
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文=高橋祥子

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