指輪型ウェアラブル「ORII」がアリババらから約3億円調達

Origami Labs「ORII」

ウェアラブルデバイスと聞けば、誰でも思い浮かべるのがスマートウォッチやフィットネスバンドだ。しかし、香港のスタートアップ企業「Origami Labs」のアプローチは全く異なっている。

Origami Labsが開発した指輪型のウェアラブルデバイス「ORII(オリー)」は通話が可能で、スマートフォンと連動して通知を受け取れる。ORIIにスピーカーはないが、耳に装着して耳にタッチすると、骨伝導の仕組みで指がスピーカーとマイクの役割を果たす。

サウンドのクオリティは医療用の補聴器レベルで、騒がしい場所でも難なく聞き取れるという。また、ブルートゥースで接続したスマホの音声アシスタントを操作することも可能だ。

機能的にはワイヤレスイヤホンと類似したものだが、バッテリーはスタンバイ状態なら48時間も持つという。

同社の共同創業者のJohan Wongは先日、台湾で開催されたテックショー「InnoVEX」の場でフォーブスの取材に応え「このデバイスは小型ながら、本格的なウェアラブルデバイスの機能を実現した」と述べた。

スマホ経由で届いたメッセージはORIIが音声で読み上げてくれる。同社の創業者4名は香港の香港科技大学の出身。Wongの父親が視覚に障害を持っているため、スクリーンを見ずにスマホを操作できるデバイスを作りたいと思ったのが開発のきっかけだったという。

ORIIは昨年8月に開始した、キックスターターとIndiegogoのクラウドファンディングで合計50万ドル以上の支援金を調達した。また、アリババのスタートアップ基金「Alibaba Entrepreneurs Fund」などから、合計250万ドル(約2.7億円)の資金調達を行なった。

正式発売に先立ち、ORIIは現在129ドルで予約注文を受付中だ。このデバイスはIPX7相当の防滴仕様で、手を洗う際にも取り外す必要がない。また、iOSとアンドロイドの双方に対応している。

ORIIがクラウドファンディングで人気となった背景には、そのファッション性の高さがあげられる。デザイナーを務めたのはイタリアのプロダクトデザイナーのAndrea Pontiで、彼は2016年に日本のグッドデザイン賞を受賞するなど、いくつもの国際賞を受賞している。

調査企業「IDC」のBryan Maは「当初は奇妙に見えたブルートゥースのヘッドセットは、今では人々の暮らしに溶け込む製品になった。指輪型のウェアラブルデバイスが世間に受け入れられるまでにはまだ少し時間がかかるかもしれないが、クリエイティブなアイデアを形にしていくことは重要だ」と述べた。

スマートリングというコンセプトのウェアラブルデバイスは、全く新しいものではない。しかし、骨伝導の仕組みで通話が行なえる製品は現状ではORIIのみといえそうだ。

編集=上田裕資

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