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ドーガン社長の森大介

福岡・九州経済圏を「情」で支える、地域特化型の投資ファンド会社ドーガン。直接金融をいち早く地域に導入し、育ててきたエコシステムが花開こうとしている。


ITバブルの真っ只中、2000年夏。その後ドーガン社長となる当時31歳の森大介は、夜中12時に福岡の繁華街、中洲のクラブに呼び出された。

相手は地元の大物弁護士だ。当時、シティバンク、エヌ・エイの福岡オフィスを立ち上げた森は、連日会食で中洲界隈に繰り出していた。

「外資系金融のバンカーがいなかったから地元の財界人に可愛がられて。だんだん仲良くなって最大500億円ぐらい預かっていましたね」(森)

しかしその夜弁護士に言われた、強烈な一言が森のその後の人生を一変させた。

「森ちゃん、君の500億、すごいことだと思うけど、その金、どこ行ってんの?世の中のためになってんの?」

考えてみれば、森が福岡の客から預かった金は、ニューヨークの本社に吸い上げられているか、デリバティブなら会ったこともないヘッジファンドのマネジャーのところに辿りつく。

「何だ、俺がやってるのはって思ったんですよ。故郷から金を吸い上げているだけで、何の役にも立ってないって」。酔いは一気に冷めていた。

福岡に本社を構えるドーガンは04年の設立から現在までに総額約356億円(組成中を含む)の計13本のファンドを立ち上げた、異色の地域特化型、独立系投資ファンド会社だ。九州弁の「どがんですか(=お元気ですか)」からとった社名には、「地方で自立した直接金融を広げる」という森の思いが込められている。

出資者は地銀などの金融機関だけではない。近年目立つのが地元の新聞社、学習塾やタクシー会社、不動産会社などの事業会社。これだけ幅広い会社が名を連ねるのは全国でも珍しい。経営ノウハウを持つドーガンが接着剤となって、地元の事業会社や金融機関の金が、資金不足の中小企業やベンチャーを支える地産地消の仕組みになっているのだ。

地方の多くは「支店経済」で、本社機能がない。地方の金は預貯金を通じて国債に回り、年金も大企業や海外に投資されて地元に戻ってこない。

「金は社会に必要な血液。必要なところに回さないといけない。地方に蔓延する停滞感を払拭させたい」と森は力説する。

文=成相通子 写真=小田駿一

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