ビジネス

2018.06.15

起業都市トロントは「コミュニティ力」で生き残りをかける!

伝統的に製造業で発展してきたカナダ・オンタリオ州とその州都トロント。今、その地がAIを基点に激変しつつあると聞き、カナダに飛んだ。


「カナダに帰ってきたのは2003年、シリコンバレーのドットコムバブルがクラッシュした直後でした」
 
そう語るロイ・ペレイラは、トロントに拠点を置くAI秘書サービスZoom.aiの創業者。スタートアップは6つ目、自身では3つ目の起業というベテランの連続起業家だ。白いものが混じった髭の似合う味のある語り口で、立ち会ったクラッシュ当時の話をしてくれた。

「駐車場はドライブができるほど空き、賃料は安くなり、ファンタスティックだったよ」。
 
ペレイラはカナダでいくつかのスタートアップを経験した後、1999〜2003年、ドットコムバブル全盛期にベイエリアのシスコシステムズでセキュリティ製品のプロダクトマネジャーとして働いていた。

「バブルの時は、みんなあそこにいた」とペレイラが言うように、およそ60万人のカナダ人がシリコンバレーエリアで働いていたという。

「バブルがはじけて、トロントに帰って来た時は、ちょうど街の姿が変わっている時期だった。人材の豊富さに驚きました。シリコンバレーでは多くの有能な人材を見てきましたが、カナダ人にはほとんど会わなかったし、会ったとしても同じようなアクセントで英語を話してアメリカ人とほとんど変わらないので気づかなかった」
 
その頃から多くのカナダ人がシリコンバレーや他の土地から豊富な経験を持ち帰り、テクノロジーハブをつくっていったという。
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文=西村由美子 写真=ジェイソン・ゴードン 構成=岩坪文子

この記事は 「Forbes JAPAN 「地域経済圏」の救世主」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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