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旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

キューバ・バハマのストリート(Getty Images)

今年4月、キューバ人民権力全国会議(国会)は、最高指導者ラウル・カストロ国家評議会議長の後継者として、ミゲル・ディアス=カネルを指名した。退任時のカストロは86歳、後継のディアスカネルは57歳だ。

ラウル・カストロは、1959年のキューバ革命を主導し、国家元首としてキューバを統治してきたフィデル・カストロの弟で、2006年に兄から権限を委譲され、国家評議会議長をつとめてきた。BBCなどのニュース報道は、「カストロ時代の終焉」を伝えつつも、統治への影響は今後も継続する見込みであると伝えている。

2015年、当時オバマ政権のアメリカとカストロ政権のキューバは、54年ぶりに国交を回復した。その後、トランプ政権による対キューバ政策の巻き戻しと、制裁強化の動きがあったものの、キューバを訪れる観光客は引き続き増えている。キューバのマレロ観光相は、今年その数は500万人に達するだろうと予測する。



「今後、国交がどうなるかわからないからこそ、いまのキューバを見ておきたい」というのが、リベラルで旅好きのアメリカ人の考えのようだ。今年5月、筆者も同様の考えのもと、アメリカ出張の合間に、キューバの首都ハバナに3日間ほど滞在した。

「お金の価値」を意識せざるを得ない場所

アメリカからの入国なので、アメリカ財務省の厳しい規定が適応される。規定において、アメリカ人の一般的な観光目的の渡航は禁じられているが、現地での人的交流などといった認められたカテゴリーでの渡航を名目に、簡易ビザのような「ツーリストカード」で入国することはできる。

ツーリストカードは、搭乗前に50ドルで入手可能。デルタ航空では、オンライン・チェックイン時にも購入できた。実際のカードは、搭乗ゲートでパスポートのチェックを受ける際に、航空会社スタッフから印刷したものが手渡される。

大使館などでビザを申請せずとも180か国に渡航できてしまう、現在「世界最強」とされる日本のパスポートのおかげかどうかは不明だが、キューバでの入国審査はスムーズで、ひと言の会話もなく、1分ほどで手続きが完了した。

キューバといえば、特産のラムを使用したカクテル「モヒート」や葉巻、かつて国交があった時代に輸入されたアメリカ製クラシックカー、キューバ革命の中心を担ったアルゼンチン生まれのチェ・ゲバラなどを想起するかもしれない。



しかし、現地へ出かけて、もっとも意識してしまう「モノ」は、「お金」だった。キューバにおいて「お金」という道具は、まことに使いづらい。

ヨーロッパ、アジア、アフリカの各国においては、米ドルの両替に困ることはほとんどないが、キューバでは米ドルの両替は一律10%の手数料が自動的に発生するし、アメリカ発行のカードは基本現地のATMでは使えない。幸い、日本の銀行が発行した海外ATM専用のデビッドカードは、ハバナの空港で使用可能だった。

現地の通貨はペソだが、兌換ペソ(CUC)と人民ペソ(CUP)の2種類が流通している。外国人が外貨との両替、もしくはATMからの引き出しで手にする通貨は兌換ペソで、1CUC(クック)=1米ドルの固定レートとなっている。旅行者は兌換ペソを所持していれば、現地で問題なく使用できる。

しかし、現地の人向けの商店や飲食店では、人民ペソのみの表記もあり、換算レートと釣銭の種類や金額に留意する必要がある。1CUC→24CUPに、25CUP→1CUCに両替される。また、クレジットカードはほとんどの場所で使えない。慣れてしまえばたいした課題ではないが、所持している現金残高やお金のやりとりについて、常に意識していなくてはならないというのは、ある意味とても新鮮だった。

文・文中写真=MAKI NAKATA

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