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これから普及するのはデビッドカードかもしれない

将来的には、クレジットカードのような与信が必要なサービスを始められればと思っています。10代でバンドルカード、20代前半で「ポチッと」チャージを使ってリテラシーを高めてもらい、その次の段階としてクレジットカードを用意できたら、と。

━━少しネガティブな質問ですが、クレジットカードを含めたカード決済は今後も残るのでしょうか。スマホ決済や仮想通貨が次々に拡大していけば、カード決済は淘汰されてしまう可能性も考えられます。

当分は残ると思います。私の予想では、スマホ決済は現金が不要になるほど爆発的に普及することはありません。もはやスマホ決済が当たり前になった国は中国など、たくさんありますが、それはその国ではセキュリティ面などで現金決済に不安があったからです。ほとんど何の心配もなく現金を扱える日本には、急激な拡大を後押しする要因がありません。

スマホ決済が普及するより先に、スマホの後継となるデバイスが登場するか、実店舗自体がなくなってそもそも現金決済という仕組み自体がなくなると思います。Suicaがスマホ決済一本になるなど急激な変化が起これば、状況は変わるかもしれませんが……。

カード決済が不要になるくらいにスマホ決済が広まるには、牛丼屋やラーメン屋でも当たり前にApple Payが使えるようにならなければならないはずです。

━━では、クレジットカードはまだまだ使われ続けるということですね。

そう予想しています。ですが、最近はクレジットカードよりもデビッドカードがメジャーになるかもしれないと思うようになってきています。

おそらく現在26歳くらいの年代が、決済リテラシーの大きな分かれ目なのではないでしょうか。これくらいの頃に、定期券の形態が変わったからです。初めてもった定期券は、磁気カードとプリペイドカードのどちらでしたか?

━━私は磁気カードでした。



旧世代ですね(笑)。初めからプリペイドカードの定期を使っていた若者にとってはお金をチャージしてから使うのが当たり前なので、クレジットカードの後払いを不安に思う人が多いようです。「クレジットカードはダサい」とハッキリ言い切る若者もいますね。

━━使ったことがないのに、なぜダサいと思うのでしょうか?

ブラックカードのように、上の世代のステータスになっているところをダサいと感じているのではないでしょうか。他には単純に、「なんで後払いしなければならないの?」という声も聞きます。クレジットカードの後払いという機能をダサいと考える機運があるかもしれません。

実際、デビッドカードは月に使える上限金額を設定できるので便利ですよね。リテラシーがない人は、クレジットカードは必ず金利が発生すると勘違いしていることも多いです。

━━クレジットカードを使わない人が「クレジットカードを持つとお金を際限なく使ってしまう」と考えていることがよくありますが、これからはそれがスタンダードになるかもしれないということですね。

すでになりつつありますね。リテラシーがあって仕組みがわかる人にとってはポイントも貯まるクレジットカードの方が便利だと思うのですが……。昔だったら当たり前にあった「社会人になったらクレジットカードを持つ」という風習がなくなりつつある。

━━若い頃からバンドルカードを使っていたら、わざわざ新たにクレジットカードをつくらなくてもいいですよね。

とはいえ、クレジットカード市場が衰退するということはないでしょう。EC市場が拡大しているので、クレジットカードの利用規模自体は増え続けています。このまま成長を続ければ、2022年頃にはいまの1.5倍の規模になるはずです。

ですが、やはり周りの人と同じものを持ちたがる傾向はかなり強いので。そういう意味では、バンドルカードのようなサービスが普及することで周りに持つ人が減れば、世代交代と共にクレジットカードを持つ人は減るかもしれないですね。ただ、日本のクレジットカードは、原則1回払いでデビットカード的に使っている人がほとんどなので、利用シーンやユーザー心理はあまり変わらないとも思いますが。

スマホ決済や仮想通貨に注目が集まっていますが、もしかしたら、10年後の決済の主役がデビッドカードになっている可能性もあるかもしれません。

文=野口直希 写真=若原瑞晶

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