若返り大作戦開始、常識を覆す新カローラの驚くべき事実

トヨタ・カローラ


さあ、試乗だ。まだ発表前、カローラを人目に触れさせてはならないタイミングで、隠れた富士SWでプロトタイプを試乗させてもらうことになった。用意されたのは3タイプ。1.8リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、プリウスと同様のユニットだ。

もう1タイプは1.2リッターターボ。ハイブリッドはCVT車、ターボはCVT車とMT車、つまり3種類。まずはターボのCVT車に乗ってスタート。エンジンをかけたら、なんて静かになったんだとびっくり。上質感をあげるために、吸音材をかなり使っているらしい。

1.2Lのターボと聞くと、パワーが若干足りないのかなと思ったけど、このクラスには十分パワー感があった。ターボラグもほとんどなかったし、CVTのエンジンとの相性がいい。

「iMT」と名付けられた6速マニュアルトランスミッションが組み合わされたモデルのターボ車にも乗ってみた。シフトダウン時にブリッピングが入ると言われたけど、変速が終わる頃に回転数が上がるので、それほど効果を感じなかった。普通にヒール&トウで走った方が楽しいだろう。

一方、プリウスと同仕様の1.8LのハイブリッドとCVT仕様のカローラは軽い分、走りが軽快でキビキビしている。センターコンソールのスイッチで走行モードを選べる。ターボ車には電子制御のアダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム(AVS)が備わっていて、モードはECO、COMFORT、NORMAL、SPORT、SPORT S+の5段階。

ここはサーキットだから当然、ステアリングや加速性の反応が鋭くなるというSPORT S+をセレクトした。



最初のコーナーに差し掛かった時に気づいた。今までのカローラは、ハンドルを曲げても真っ直ぐ進みたがる弱アンダーステアが目立っていたの対して、新カローラにはそれがない! 嬉しいことに、ニュートラルステアだ。

しかも、ステアリングの手ごたえや重さは適度で、前輪駆動のカローラの鼻先をコーナーの奥に向けても、車の姿勢が安定されつつ、後輪も綺麗についてくる。直線で約100km/hに達したけれど、フルブレーキングで減速してキュッと左に方向を変えると、鼻先は思い通りに向きを変えてボディロールを抑えたままコーナーをクリアしていく。

より若いユーザーをターゲットにするということで、室内も若返っていた。内装の質感は現行型よりワンランク上だし、シートにはふんだんなステッチを効かせたりツートーンの選択肢もある。速度計の中の色鮮やかな5モードの選択も格好いい。

新カローラは言うまでもなくスポーツカーではないけど、ルックスがヤングで今までにない楽しい走りができると言う点で、ユーザー層はかなり若返らせられる予感がする。数年前から、豊田章男社長が言っている「平凡さは退場せよ!」が、いよいよ効いてきたようだ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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