米朝会談の舞台「カペラ」 シンガポーリアン御用達の隠れ家とは

カペラの外観(Photo by Ore Huiying/Getty Images)

「カペラ」というホテルのことを聞いたのは数年前、シンガポールの友人たちと、ラッフルズホテルのロングバーで、名物のピーナッツの皮を床に落としながら、酒杯を傾けていたときのことだ。

「シンガポールで一番ラグジュアリーなホテルはどこか?」という話題になったとき、最も信頼のおける友人が、迷わず口にしたのが、この天頂に輝く星の名を冠したホテルだった。

友人に言わせると、忙しなく働くシンガポールの人間にとって、カペラはいちばん近くて安逸を得ることのできるリゾートとのこと。飛行機でバリ島やオーストラリアに出かけるより、市の中心部からタクシーで20分ほどで行けるこのホテルは、実にストレスレスな「旅」を経験させてくれるのだと言う。

「ソフト」にも優れたホテル

トランプ大統領と金正恩委員長の米朝会談(6月12日開催)の舞台として注目を浴びることになったが、シンガポール島の南に隣接するセントーサ島にあるこのホテルは、これまでどちらかというと「隠れ家」的な色彩が強かった。

友人から、カペラの存在を聞いた筆者は、早速、併設されているスパ「Auriga Spa」に予約を入れ、ホテルの偵察に出かけた。

セントーサ島には、ユニバーサルスタジオやカジノもあり、こちらのアミューズメント地区には、ロープウェイとモノレールも往復しているが、車で行くと、連絡橋を渡った島の入り口に行き先をチェックするセキュリティがある。

そこを通過し、右に行くとアミューズメント施設なのだが、カペラのある場所は島のほぼ中央。知らなければ見落としてしまいそうな小さな案内板が出ている小道を登ると、丘の上にコロニアル風の白い建物が見える。もちろん、表通りからこの美しい建物は見えない。

このカペラは、フロントやレストランのあるこの白い建物と、その後ろに控える72室を備えた超モダンな宿泊棟、そしてその先に点在する38のヴィラから成る。すべてのヴィラには専用プールがあり、完璧なプライペート空間が確保されている。

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曲線を生かした宿泊棟は、超モダンな建物

偵察当日、かなりラフな格好をして、レセプションでスパの場所を尋ねたのだが、フロントマンはわざわざ先導して案内してくれた。後日、宿泊したときも、チェックイン時から階上のラウンジに通され、滞在中もきめ細かいサービスを楽しむこととなった。とにかく「ソフト」にも優れたホテルなのだ。

ちなみに、宿泊した部屋からは、敷地内に生い茂る深い緑の先にシンガポール海峡も望むことができ、全室オーシャンビューの窓の先には、絵に描いたような美しい景色が広がっていた。
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文=麻桐修

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