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2018.06.09

イスラエルの次世代テクノロジーを生む「9900部隊」出身者たち

Max Zalevsky / shutterstock


グーグル傘下の企業でも元9900部隊が活躍

5月後半には9900部隊の出身者らが集うミートアップがテルアビブで開催された。Yossi Adlerが主催するこの団体は今後、現地の配車アプリ企業「Gett」やビジネス管理ツール企業の「monday.com」、「Natural Intelligence」と提携し、定期的にイベントを開催する。

9900部隊からは既に将来有望なスタートアップ企業が何社か生まれている。

米国のオンライン教育市場で存在感を増しているのが、あらゆるオンライン動画サイトで利用可能なチャットツール「Annoto」だ。同社CEOのKirill Slavkinも9900部隊の技術者だった。

また、従業員の業務実績のポテンシャルを測定する企業向けツール「Actiview」を開発したのも、9900部隊の出身者だ。

さらに、9900部隊と8200部隊の出身者らが共同で設立した企業が「PlanetWatchers」だ。同社は複数の衛星画像をマシンラーニングで解析し、特定の地域や巨大な敷地の内部を解析するテクノロジーを持つ。

同社の創業者の29歳のShir Agassiによると、9900部隊の出身者は位置情報を活用する企業に多く採用されているという。そこにはグーグルが2013年に10億ドルで買収した「Waze」や「Gett」、交通ナビゲーションアプリの「Moovit」などが含まれる。

これらの企業では8200部隊出身者らが主にビッグデータの解析を行ない、9900部隊出身者らはビジュアルデータの解析を行なうという。

Agassiによるとイスラエルには現在、約2万5000名の9900部隊の出身者が存在し、彼らのための連合組織「9900 Alumni Association」も設立された。また、非公開のフェイスブックグループでも活発なコミュニケーションをとっている。

前述のNucleaiのCEOのVaidmanは「今後はますます9900部隊出身者らの活躍に期待が注がれる」と述べる。

「グーグルマップが登場する以前の世界では、衛星画像は軍事用に使われるものだったが、時代は変わった。今では全ての人々がスマホでGPSを活用し、位置情報つきの写真を撮っている」とVaidmanは述べた。

編集=上田裕資

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