応用スポーツ心理学から見る「ホワイト企業」に必要な3つの要素

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個人の自立は、関係の信頼や全体の共有を生み出す前提条件である。個人が自立している状態とは、個人のパフォーマンスに責任を持っている状態のこと。パフォーマンスとは「何を、どんな心で実行するか」で規定されるため、自立とは「何を」と「どんな心」に責任をもつことが重要である。

それと同時にもう一つ大切なことは、私が専門にしている「どんな心」なのか。何を実行していても、そこには心の状態が常に関与する。揺らがず・とらわれずの自然体で、機嫌のよいフローな心の状態か、そうでない不機嫌なノンフローの状態なのかで行動の質は決定されている。

不機嫌の状態で「何か」を実行していると、それが誰であろうと、実行内容が何であろうと、間違いなくその質は低くなる。つまりこれは、その人自身が自分のパフォーマンスの質に責任を負っていない状態だと言える。機嫌の悪い状態で仕事をする、つまり結果として生まれるものの質が明らかに低下することが分かっているのにも関わらず、行動をすることは無責任とも言えるだろう。

自分の機嫌を自分で取る「ご機嫌力」が身についている状態こそ、組織の中での責任者としてのあるべき姿なのだ。この個人の自立は、すべての社員に平等な権利であり義務でもある。新入社員も社長も、バックオフィスも営業も、役職は関係ない。人としての責任なのである。

自らの心の状態をセルフマネジメントできる人材がいる組織は、共有レベルも高く、さらに高い関係性を築いていく。すると組織の競争力は高まり、業績にも反映する。それがホワイト企業なのだ。

ホワイト企業大賞を受賞された企業の社員アンケートでは、みながいきいきと働いている傾向が高い。1人ひとりが揺らがず・とらわれずのフロー状態で働いているということだろう。私は応用スポーツ心理学をベースに「ご機嫌力」ライフスキルのトレーニングを個人に展開しているが、企業という組織がホワイト企業へと歩むお手伝いをしていると言っても過言ではない。

次回は「ご機嫌力」について、少し詳しく述べてみたい。

連載 : スポーツ心理学で紐解く心の整え方
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文=辻秀一

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