応用スポーツ心理学から見る「ホワイト企業」に必要な3つの要素

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私は、ホワイト企業大賞の選考委員を2014年の発足当時から拝命させていただいている。ホワイト企業大賞とは、社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業を表彰するもので、元ソニー常務取締役でアイボを開発などに携わっていた、天外伺朗氏が企画委員長を務めている。

我々が考えているホワイト企業とは、「ブラック企業の反対」という単純な定義ではない。一言で言うと「社員1人1人の心の状態を大切にしている企業」のことである。

「経営者の徳が高く、社員想いで、ホワイト企業と呼べるような企業も昔から存在した。一般的に、ブラック企業よりもホワイト企業の方が業績は良いと言われているが、合理的に利益を追求するよりも、社員の人間性や、やる気を尊重するほうが、企業の業績や成長に貢献することが結果に繋がるのは自明だ。

とすれば、ホワイト企業の数が増えれば幸せな人が増え、社会はより良い方向へ進化し、おまけに企業の業績もあがり、経済も活性化し、国力も増し、良いことずくめになる。日本の社会にホワイト企業がどんどん増えてほしい。」と委員長の天外さんはおっしゃっている。

ここでは「ホワイト企業=社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にしている企業」と敢えて曖昧な定義で取り組んでいるが、私個人の言葉で言うと、社員1人1人が働き甲斐や幸せ感や貢献感を感じている「ご機嫌な会社」のことを指す。

しかし、どんな会社も完璧にホワイトな状態を実現することは難しく、そのような会社のあり方を、経営者をはじめみんなで目指していく姿が健全であると考える。第1回の大賞を受賞したネッツトヨタ南国をはじめ、これまでも素晴らしい企業が大賞ならびに特別賞を受賞され、ホワイト企業への道を共に歩んでいる。

さて、このようなホワイト企業大賞への道を歩もうとしている会社を、私の専門とする応用スポーツ心理学、そして「ご機嫌力」の視点で分析し解説してみたい。一般的な組織の構成要素は、必ず「個」「周」「場」の3要素から成り立っている。つまり、個人性・関係性・全体性の3つだ。

この3要素のレベルを人間としての心理学視点から考えたとき、ホワイトな組織には、必ずといっていいほど「個人の自立」「関係の信頼」、そして「全体の共有」がキーワードになってくる。中でも重要なのが、「個人の自立」だ。
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文=辻秀一

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