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2018.06.08

取引所の「黒船」来たるが凪相場続く[週間ビットコイン動向]

Photo by Chesnot/Getty Images

先週末から今週にかけてのビットコイン価格は、80万円台を挟んでの小動き推移となった。目立った売り買いの材料が観測されないなか、力任せの売り仕掛けも入らなければ、上値を追うような展開も見られない様子見姿勢の強い地合いとなっている。

そんななか、米仮想通貨取引所大手のコインベースが日本に進出すると伝わっている。コインベースは世界32カ国で事業を展開しており、世界最大規模の市場である日本を攻略するべくオフィスを開設するとのことだ。

コインベースは、HP上で「他の市場と同様、われわれは日本での本格展開で慎重なアプローチを取る計画である」と説明しており、金融庁とも接触を図り改正資金決済法などの法令を遵守する姿勢を示している。

国内で仮想通貨交換業を手掛けるには、金融庁の登録が必須となるが、コインベースは年内にも「交換業」を取りにいくものと推測される。国内大手メガバンクの三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と提携していることから、国内で仮想通貨交換業を進めていく上で、MUFGと連携して業務展開することだろう。

コインベースのユーザーは世界で2000万件ほどといわれており、国内最大手のビットフライヤーの200万件(市場観測)とは10倍の開きがある。ユーザー規模で考えるとまさに「黒船」というイメージだが、1月のコインチェック事件以降、仮想通貨交換業への参入障壁はかなり高まっている。

既に申請しているかもしれないが、現在100社ほど申請待ちの状況を考慮すると時間軸はかなり後ろにずれ込む可能性はある。取引所の国内シェアが大きく変わるようなこととなるのは来年辺りの話か。

もっとも国内の仮想通貨交換所も淘汰がまだ進むと思われることから、勢力図は大きく変わることだろう。フィスコデジタルアセットグループの子会社であるフィスコ仮想通貨取引所(登録業取得済)も様々な施策を練らねばならぬと思う今日このごろだ。

さて、売り買い即効性のある材料に欠けるビットコインだが、引き続き80万円前後でのもみ合いは今しばらく続くと想定する。一部報道でマネー・ロンダリング(マネロン)に関する行政処分が登録交換業者に下されるとの話があることから、当局による正式な発表があるまでは積極的な買いは手控えられるだろう。

発表のタイミングは、嫌気した売りが入り70万円半ば辺りまで下落するかもしれないが、マネロン報道は既に伝わっていることから影響は短期的なものに留まると想定。正式発表で70万円台半ばまで下落する可能性はあっても、値はすぐ戻すと考える。想定レンジは75万円から88万円とする。

連載:「仮想通貨」マーケット実況
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文=田代昌之

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