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I cover geology, earth science, and natural disasters.

Tupungato / shutterstok.com

濃いスモッグに包まれるフィリピンの首都マニラは「世界最悪の交通渋滞都市」と呼ばれている。その対策として政府は、マニラ近郊にマンハッタンより大きい無公害都市を作り、問題を緩和しようとしている。

「ニュークラーク(New Clark)」と命名された新都市では自動運転車やドローンが稼働し、広大な緑地や省エネの建物、巨大なスポーツコンプレックスなどが建設される予定だ。この新都市はマニラから75マイル(約120キロメートル)に位置し、官民が協力して資金を提供している。

この都市を建設する目的はマニラの環境問題の緩和と、持続可能な都市のモデルになることだ。ニュークラークには200万人が住むと想定されており、建設コストは140億ドル(約1.5兆円)に上ると見られる。無公害を実現するために町の3分の2は緑地や農地にし、二酸化炭素排出をオフセットする。

プロジェクトを主導するのはフィリピンの政府機関「基地転換開発公社(Bases Conversion and Development Authority、BCDA)」で、新都市を交通渋滞が深刻なマニラとは対照的な「未来都市」にすることを目指している。

災害にも強い都市にする予定で、洪水の際に広大な緑地を活用することでインフラを守るほか、建物には自然災害への耐久性を求める。

ニュークラークは完成までに25~30年間を要する見込みだという。マニラの人口密度は世界トップレベルで、ニューヨークでは1平方マイル当たり2万7000人であるのに対し、マニラは10万7000人だ。

BCDAはできる限り早くニュークラークを完成させたい意向で、スポーツ施設については2019年の東南アジア競技大会に間に合うように完成させる方針だ。テクノロジーの進化や新たな環境問題対策が実現可能になれば柔軟に計画を変更していくという。

マニラ首都圏には1300万人近くが暮らしているが、新都市によって人口密度の高さは緩和されるだろう。しかし真価が問われるのは、フィリピン政府が今後も増え続ける自動車と人口に合わせてインフラを発展させられるかどうかだ。

編集=上田裕資

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