ビジネス

2018.06.08

設立から10年 伊勢谷友介が語る、これからの「リバースプロジェクト」

リバースプロジェクト代表 伊勢谷友介(左)、共同代表 龜石太夏匡(右)




伊勢谷:確かに、メンバーにはそれぞれ個性があるからこそ、龜石がいうように、「人類が地球に生き残るために」という理念を掲げているからには、メンバーそれぞれが裁量権を持ち、自由がある企業であることが重要。

だからこそ、各メンバーが、この社会の中において「どのように自分の役割や責任を全うできるか」ということを考え、イノベーションを起こすことに期待している。イノベーションを超こすには、自分が良かれと思ったことを恐れずに実行し、たとえ失敗しても、また次へと立ち上がることが大切。最終的に結果を生み出すことに執着してくれればいい。

もちろん僕自身も諦めてはいない。これからの人間の平均寿命は100年と言われているから、僕にはあと60年もあるし、その間腐っているわけにはいかない。第一、僕は“挫折禁止”と公言しているからこそ、今までの経験でネガティブな部分も含めて、「できないことはできない、できることはできる」と考えているし、「できることを実際にやる」ためには、多大な努力と先行投資をしなければいけないとも感じている。正直、壮大なことではあるが、未来のために、新しいプロジェクトのために、頑張りたい。

龜石:伊勢谷のクリエイティブで瞬発的な、我々が考えもしなかったアイデアに常に期待している。それが弊社の財産であり強み。それを生かすために、一企業として力を蓄えなければならないと思う。

伊勢谷:改めて思うのは、リバースプロジェクトは社会を変える仕組みをつくり、その中で生み出す商品を買ってもらうことで、世の中がよい方向に向かうことを目的としているからこそ、世間の信用を得なければならないということ。

例えば、収穫した野菜の形が小さかったり、変形していたりすることで捨てられてしまう規格外野菜を利活用するプロジェクトを民間企業である弊社が現在は担っているが、それは本来、公共事業として国がやるべきことではないかと思う。しかし、このような事業でも民間企業として利益が少しでも上げられるのなら、遂行していく価値がある。

なぜなら、いわゆるゴミとして捨てられてしまうものを人間の栄養に変え、生きる人のために活用できるわけだから。そのようなプロジェクトから世間の信用を得ながら、社会の意識を少しずつ変えていけることを、今後はさまざまなジャンルにおいて証明していきたい。

龜石:ビジネスの仕組みは今後もめまぐるしく変化していくと思うが、クリエイティビティは常に必要とされるはず。だからこそ、優秀なアーティストやデザイナー、そして、伊勢谷がいる弊社は強いと感じる。優秀なクリエイターを探すことはなかなか難しいけれど、僕らが有名デザイナーとのコラボや、さまざまな地域や地方の伝統産業などとつながることができてきたのは、弊社だからこそ。小企業でも武器はいろいろある。それを限られた予算や人員のなかでも、実現する仕組み作りを今後も諦めずにやっていきたい。

我々が得意なもの、我々にしか打ち出せないものが価値を生むと思うと信じて、これまでもさまざまなプロジェクトを行ってきたからこそ、これからの時代はそのような意味や意義があるものが勝ち残っていくと信じているし、リバースプロジェクトとしてできることであればどんどん挑戦していきたい。


伊勢谷友介◎1976年生まれ。俳優、映画監督、リバースプロジェクト代表。東京芸術大学在学中、映画『ワンダフルライフ』でデビュー。映画『Blindness』『あしたのジョー』大河ドラマ『龍馬伝』『花燃ゆ』などで活躍。2018年は人生100年時代を見据え、自身の残り60年を挫折禁止の座右の銘のもと、同社代表としての過去10年の経験をふまえ、各々の問題を解決するため実行していく。

龜石太夏匡◎1971年生まれ。株式会社リバースプロジェクト共同代表。1993年、渋谷にパイドパイパーを立ち上げ、ファッションシーンをけん引。その後映画『カクト』『ぼくのおばあちゃん』の脚本・プロデュースを手掛け、2009年に同社を設立。2018年は、全幅の信頼を置く伊勢谷のクリエイティビティを、よりリバースプロジェクトに活かすため、同社の規模感だからこそできるシステム作りを率先して取り組む。

リバースプロジェクト◎社会課題に斬新なアイデアとクリエイティビティで、解決策を提示する株式会社。プロダクト開発からまちおこしまで、さまざまな領域でサスティナブルな未来への選択肢を広げる取り組みを展開中。2018年は同社の強みをさらに活かすため、個々の力に頼っていた部分の役割をより明確化する仕組み作りや、スタッフの発掘にも力を注ぐ。現在、新戦力となる人材を募集。

文=Nana Takeda

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