ビジネス

2018.06.08

起業して、138億円で売却──僕が再び、スタートアップの現場で働く理由

ジラフ代表取締役 麻生輝明(左)、執行役員 佐々木俊介(右)


輝かしい経歴を持つ佐々木だが、一貫して謙虚な姿勢を崩さない。なぜそんなにも謙虚でいられるのだろうか。率直な疑問をぶつけたところ、思いがけない答えが返ってきた。

「……根底には、劣等感が強いところがあるのかもしれません。子どもの頃に持病でペースメーカーを入れたので、まったく運動ができなかった。NTTグループに就職して、起業して、自分の会社を売却して……傍目からは『すごいね』って言ってもらえるかもしれないけど、僕自身、そんなに優れた経営者だったとは思わないし、何か世界を変えるようなプロダクトを生み出したわけでもない。これまで出会った方々で、よっぽど素晴らしい人がたくさんいましたし、まだまだ自分にはできることがある、という思いなんです」

だからこそ、これからの未来に大きな夢がある。

「たまたまYahoo!知恵袋で、ポケラボが製作したゲームタイトルを挙げて、『こんなゲームを作れるようになるには、どうしたらいいですか?』という質問を見つけたんです。そのとき、『誰かの人生に影響を与えることができたんだ』と、涙が出るほど感動した。これから先、それほどのインパクトを与えられる機会をどれだけつくることができるか。

「『ビジョナリーカンパニー』で『ウォルト・ディズニーの最高傑作はウォルト・ディズニー社だ』という一節があります。僕自身も人と関わり、コラボレーションしながら、新しいものを生み出したいし、何より『新しい価値観』や『人生を変えるような体験』を提供し続けられるような会社を作りたい」

「日本でもスタートアップシーンが盛り上がって、エコシステムが回るようになってきたけれど、シリコンバレーのように抜きん出た企業はまだなかなか生まれてきません。いつか、そういう企業が生まれてくるといいですよね。ゆくゆくはまた自分の会社を起こすことはあるかもしれないけど、今は、このジラフという場で、それを追求していけたらと考えています」

文=大矢幸世 写真=小田駿一

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