レジ袋を飲み込んで「死んだクジラ」が発する人類への警告

(Photo credit should read Iqbal Lubis / Barcroft Media via Getty Images)

重さ約8キロに達するレジ袋を飲み込んだクジラがタイで死んだ。このゴンドウクジラはタイ南部のソンクラーの近くの運河で5月28日に発見された。レジ袋を取り除いて命を救おうと、海洋海岸資源局(MCRD)が救助措置を行なったが、どの努力もむなしくクジラは6月1日に力尽きた。

その後の解剖で、胃袋に80枚のレジ袋が入っていたことが判明した。救助隊員が取り除くことができたレジ袋はわずか5枚だった。

ゴンドウクジラは通常イカをエサとしているが、タコや魚なども食べることがある。エサと勘違いして飲み込んだレジ袋が消化管に詰まり、餓死に至ったのだ。

タイでは年間100万トンのプラスチック製品が海に投棄されており、世界でも最も投棄量が多い国にあげられる。世界的にプラスチックの使用が増える中、海のプラスチックごみの問題は深刻さを増している。

海のごみ汚染は人類にも危険を及ぼす。粒子状のプラスチックを魚が食べ、その魚を食べた魚が我々の胃袋に入ることになる。人類にとって恐ろしいのは、マイクロプラスチックによる健康被害の実態が把握できていないことだ。一説によると、ほとんどの人が微量のプラスチックを食品から摂取しているが、長期的にみてそれがどのような被害をもたらすかは未解明なのだ。

この50年間でプラスチック製品の生産高は20倍になっており、増加スピードは下がりそうもない。プラスチック製品の生産量は2050年には2014年の3倍になると見られる。このままプラスチック製品の生産が伸びると、いずれ海に漂うプラスチック製品の総重量が海に生息する魚の総重量を上回ることになる。

プラスチック製品の大部分がリサイクル可能だが、世界的に見てリサイクルは進んでいない。プラスチック製品のおよそ95%は、1度使ったら捨てられているのが現状だ。

編集=上田裕資

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