もう「圏外」に悩まない SXSWで注目された音波通信の可能性


━━視覚情報の邪魔をせずに新たなコンテンツを発信できるということですね。

桑山:VRやストリーミングサービスが登場して、映像と「体験」をセットで考えるのが当たり前になってきている。また、音波通信は動画に音声として連動情報を組み込むので、録画やストリーミングで後から視聴した人も同じように情報を受け取ることができるのも強みです。映像や画像で同じことをやろうとすると、スクリーンの同期やQRコードの表示が必要になってしまいます。

津久間:これまで一手間ふた手間かかっていた動作を簡略化できる、という場面はたくさんありそうです。「カメラアプリを起動→スマホをかざしてQRコードを読み取る」という動作なら、サウンドコードのアプリを開くだけで完結するようになります。

旧来のメディアとスマホを結びつけるポテンシャル

━━国内や海外に競合サービスは存在しないのでしょうか。

津久間:国内にも音波通信を扱う会社は存在しますが、弊社は21カ国ですでに特許を取得しています。しかし、アメリカでは「Lisnr」というサービスが我々により遅れて米国の特許を取得しているのが懸念点。

実際、その会社の技術は日本で使用されている大手デバイスにも搭載されています。これは厳密には弊社の特許を侵害しているのですが、いまは日本での活用事例を増やして、地力をつける段階だと思っています。


CINOS CEO 桑山耀

━━今後、音波通信はどのような普及をしていくと考えていますか。

津久間:海外の動きもあり、弊社の注目も集まっていることから、これから数年でかなり知名度が上がるはずです。先ほども話したように、決済や仮想通貨市場など、まだまだ参入できる領域はたくさんあります。

桑山:ほかに注目しているのは、O2O(オンライン トゥ オフライン)領域。例えば、実店舗の音波通信で割引情報などを受け取るのが当たり前になれば、ユーザーは入店直後からお店を出るまでサウンドコードのアプリを起動するようになります。ここからユーザーの行動情報を取得することもできるでしょう。

仮想通貨など新たに登場する領域だけでなく、旧来のメディアや実店舗とスマホを結びつけることができるのが、音波通信の大きなポテンシャルだと思っています。

文=野口直希 写真=江口ヒロヒコ

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