貧困層から5兆円企業のトップへ あるCEOを突き動かした言葉

カーニバル・コーポレーションCEO アーノルド・ドナルド(Photo by Lars Niki/Getty Images for LightWorkers)


大切なのは思考の多様性

ドナルドの経験は、彼のキャリアを形作り、カーニバル・コーポレーションの経営方法に影響を与えた。例えばドナルドは、“思考の多様性”と呼ぶものを推進している。「時代を超えてビジネスが繁栄する唯一の方法は、イノベーションだ。イノベーションとは、既存の枠にはまらない思考のこと。異なる出自や異なる文化経験を持った人々を集め、ひとつの共通目標に向かって組織すれば、同類が集まったグループよりも突破口となるイノベーションを作り出す可能性がずっと高くなる」

ドナルドはCEOとして最初の3年で、クルーズライン・ブランド9つのトップのうち7人を交代させた。現リーダー9人のうち4人は女性で、世界最大のクルーズ・ラインであるカーニバル・クルーズ・ラインのクリスティーン・ダフィ社長や、プリンセス・クルーズのジャン・スウォーツ社長が含まれる。

ドナルドはまた、オーランド・アシュフォードをホーランド・アメリカの社長に指名。アフリカ系米国人として初のクルーズ・ライン会社社長となったアシュフォードは、旅行業界でなく人事分野の経験者だった。彼は会社に「人こそが最も重要な財産」という、それまでとは違った考え方を持ち込んだ。

ドナルドいわく、思考の多様性は「ビジネスに必須であり、強力な利点をもたらす」ものだ。

ドナルドが持つ強力な利点は、カーニバル・コーポレーションの業績向上の原動力となった。彼がCEOに就任して5年の間に、同社の市場価値は約78%増の480億ドルにまで成長した。

自信を持ち、自ら立てたプランに従えば、自分が決めたどんな道へも進むことができると、ドナルドは信じている。「簡単なことではないが、シンプルなことだ」と彼は語った。

編集=遠藤宗生

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