その同社は先ごろ、今年第1四半期(2~4月)の売上高が前年比25%増の約6億4970万ドル(約713億8700万円)に達したと発表した。既存店の売上高は、同20%増加。400以上を数える実店舗での売上高は、同8%増を記録した。オンライン販売での売上高は、同62%増えたという。明らかに、アパレル業界においては群を抜く好調ぶりだ。
ルルレモンの業績から分かることは、その成長潜在力と、ヨガウェアにとどまろうとしない野心だ。今後はスポーツウェア大手のナイキやアディダス、アンダーアーマーなど大手各社との競争を、より真正面から見据える存在になるかもしれない。
需要に応えて事業を拡大
ルルレモンのスチュアート・ヘイゼルデン最高執行責任者(COO)によれば、第1四半期に同社が獲得した新規顧客の30%近くは、男性だった。軽量で通気性に優れたメンズのハーフパンツが特に人気だという。
同社は年間売上高を昨年度の26億ドルから2020年には40億ドルに増やすことを目標としているが、男性向け衣料の売上高は、それを実現する以上のペースで増加している。同社は顧客の要望と高い需要を受け、製品の種類を増やしてきた。新製品のスウェットパーカーや通勤用にも使えるパンツなども、その一例だ。ヘイゼルデンは、同社は「自ら道を切り開いて進んできたわけではなく、引き込まれる形で新たな製品カテゴリーを展開してきた」と述べている。
同社は今後、スポーツウェアの中でも主力製品であるシューズに力を入れていく可能性もある。昨年は高級シューズブランドのAPLとの提携により、スニーカーの新ラインを発表した。これについてヘイゼルデンは、シューズが成長に向けた大きな機会をもたらすと明言するのは「時期尚早」だと発言。ただし、顧客は「われわれのシューズに関心を持っている」と語った。
一方、ルルレモンは国際事業の拡大にも注力している。ドイツのベルリンや韓国のソウルなどに店舗を開設。アジア地域は地元である北米よりも成長のペースが速く、既存店舗の売上高は、前年比で50%以上の伸びを達成している。また、北米市場でも需要は依然として堅調で、店舗開店の機会は増加を続けているという。
「ニッチプレーヤー」からの脱却
ルルレモンはヨガウェアを超えて、ランニングからゴルフまでその他のスポーツウェア・カテゴリーに製品の幅を広げてきた。
ランニングウェアを求める層にアピールするため、同社は近くオンタリオ州のトロントとアルバータ州エドモントンで開催される1万キロのレースをサポートしている。その他にも、ランニング・クラブを組織。メンバーと走るイベントを開催するなどといった取り組みを行っている。
ナイキの2017年度の売上高は、およそ344億ドル。スポーツウェア市場におけるその規模は、ルルレモンの10倍以上だ。だが、それでも先ごろ発表されたルルレモンの決算結果は、同社がすでにニッチ戦略を取るニッチプレーヤーではないことを示している。