プロなら売名くらい当たり前 個の時代を生き抜くには

写真左より:尾原和啓氏、伊藤羊一氏、藤本あゆみ氏、中村繪里子氏、谷本有香


尾原:年収2000万円の人って0.1%だっていいますけど、一つの分野で上位0.1%を目指すのって相当大変じゃないですか。藤原和博さんがおっしゃってることですが、掛け算の世界では、1%×10%で0.1%の人材になれますからね。何かで1%、別の何かで10%になれればいい。

谷本:まさに、私は経済とキャスターのどちらもプロではなかったけれど、掛け合わせでポジションをとることができたんだと思います。

伊藤:どちらも中途半端になる可能性もあるけど、それを回避するためには?

谷本:フリーランスだと明日のご飯にありつけるか分からないので、絶対にいつも200%の力を出そうと決めていて。仕事の内容が満点じゃかったとしても、企画提案や人柄のような別のところでカバーして総合的に200%になるようにしています。すると、必ずリピートされるんです。

藤本:人柄でカバー、なるほど。掛け合わせた先にニーズがあるのか、みたいなのは考えていましたか?

谷本:手札で勝負するしかないので、そこはあまり考えていなかったです。ただ、戦略的に競合となりうる記者の方との違いを出していったのはあるかも。男性の記者さんが多かったので、女性の視点で質問したり、あえてインタビュイーの言っていることを否定して、ヒール役を演じたりしたんです。2ちゃんねるにも書かれたりしたなぁ。


(写真左より:中村繪里子氏、伊藤羊一氏、藤本あゆみ氏、谷本有香、尾原和啓氏)

売名しないのは、プロじゃない

尾原:そういう尖ったやり方ってキングコングの西野さんとも少し似てますよね。西野さんって舞台ではキレッキレですけど、リアルでお会いするとめちゃくちゃ真面目で丁寧な方なので。

伊藤:発信を頑張っていると、売名行為だとか承認欲求が強いとか色々アドバイスをいただきますけど、それでいいよなと。売名しない方がプロフェッショナルじゃないと思うんですよね。自分のための売名はしないけど、目的を達成するために必要なら、むしろやらねばならない。僕は、自分の発言や思いを、可能な限り世界の遠くに届けたいんですよね。そのためにしっかりプロモーションしようと。これはプロダクトやサービスをプロモーションするのと全く同じです。

尾原:僕は相当エゴサーチしてますよ。ツイッターもフォロワー増えると嬉しいし。自分が商品なんだから、当然ですよね。誰かから仕事をもらえないと生きていけないんだから、売名くらいしますよ。

中村:自己承認できている状態って、ある意味麻薬的なんですよね。だから、明日のお米が買えなくなる恐怖心よりも、自分自身を褒めてあげられる瞬間が無くなることの方が、自分が消えていく感覚があって。私はそれを失いたくないというしがみつきもあるかも。

藤本:評価は他人からしかもらえない。だから、いかにファンを増やすか、理解してくれる人を増やすか。そのためには発信するしかないですよね。発信を続けていると、人は化けの皮が剝がれる瞬間があるので、利己的か利他的かというところで明暗が分かれますよね。

谷本:私も多くのフリーランスや経営者と出会ってきた中で、成功する人とそうでない人の違いが明確に分かるようになって。やっぱり「利他」は大事な要素ですね。

尾原:利他的であることは、結果的に自分を救うと思います。「情けは人の為ならず」と相性がいいのがインターネット。自分がやっていることを誰かが見てくれている時代なんです。発信をしているとアンチが出現することもあるけど、あちこちから集まった信頼が防衛線になって、自分を引きずり降ろそうとする人たちから守ってくれるはずです。だから自己一致して発信して仲間が集ってくることが大事ですね。


尾原和啓◎執筆・IT批評家。京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、グーグル、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を歴任。現在13職目 、シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。それらの経験をもとに、『どこでも誰とでも働ける』を上梓。

伊藤羊一◎ヤフー株式会社Yahoo!アカデミア・学長/株式会社ウェイウェイ・代表取締役。2015年にヤフー株式会社に入社し、次世代リーダー育成を行なう。グロービス経営大学院でもリーダーシップ科目の教壇に立つ。近著に『1分で話せ』がある。

藤本あゆみ◎一般社団法人at Will Work 代表理事。株式会社キャリアデザインセンターに入社。入社3年目に、当時最年少かつ女性で唯一の営業マネジャーに就任。2007年グーグル株式会社に転職し、15年退職。その後一般社団法人at Will Workを立ち上げ、代表理事としてカンファレンスやイベントの開催に向けて活動を展開。最近はPlug and Play Japanでマーケティング/コミュニケーションディレクターとして新たなキャリアをスタートさせた。

中村繪里子◎声優。神奈川県出身。アーツビジョン所属。代表作に『THE IDOLM@STER』、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』、『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』『Caligura-カリギュラ-』などがある。『中村繪里子 キラとき☆』『びばりば!!』にてラジオパーソナリティとしても活躍中。

谷本有香◎Forbes JAPAN副編集長。証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCで同社初の女性コメンテーターとして従事し、2011年以降はフリーのジャーナリストに。著書に「何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣」などがある。


構成=ニシブマリエ

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