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2018.06.05

マイクロソフトのGitHub買収、株主の期待を高める4つの理由

StockStudio / Shutterstock.com

米マイクロソフトは5月4日、ソフトウェア開発のためのソースコード共有・管理プラットフォームの米ギットハブを75億ドル(約8240億円)で買収すると発表した。

マサチューセッツ州のバブソン大学で経営戦略や起業について教える筆者は、買収の成功のためには4つの条件を満たすことが必要だと考えている。そして、マイクロソフトの今回の決定は株主たちにとって幸いなことに、全ての条件を全て満たしていると見られる。

米ウォールストリートジャーナルによると、ギットハブは約3年前、ベンチャーキャピタルのセコイア・キャピタル、インスティテューショナル・ベンチャー・パートナーズなどから約2億5000万ドルを調達した後、企業価値がおよそ20億ドルに上昇した。これにより、同社の投資家たちの多くは、投じた額の8倍近い利益を得ている。その彼らにとって、マイクロソフトによる買収は大きな「勝利」だ。

一方、マイクロソフトの株主たちがこの買収に期待を持てる理由は、どこにあるだろうか。買収を成功と見る4つの条件に照らし合わせて考えてみる。

1. 市場は魅力的か

マイクロソフトはギットハブの買収によって大規模であり、かつ成長を続けるクラウドアプリケーション市場でのシェアを拡大する機会を得る。調査会社スタティスタによれば、クラウドアプリケーションの市場規模は2016~21年に年率26%の成長が見込まれている。

2. 市場シェアを拡大できるか

マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、自社の販売チャネルとグローバルなクラウドインフラとサービスへのアクセスを通じて、ソフトウェア開発を行う企業によるギットハブの利用を加速させていきたい考えだ。

また、マイクロソフトはギットハブを傘下に収めることによって、新たに約2300万人の開発者からの支援を得られることになる。これらの開発者は、マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」向けのアプリケーションの開発を支援する中で、新たなビジネスチャンスを見出す可能性がある人たちだ。
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編集=木内涼子

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