「ノンピート」に挑戦するブルックラディの革新

ブルックラディ ザ・クラシック ラディ

祝杯をあげるとき、自分自身の時間を楽しむとき、孤独を噛みしめるとき… 。一杯の酒と向き合う空間に身をおくひとときは、明日への活力となる。

ウイスキー愛好家の聖地といわれるアイラ島では、1700年代から大小の蒸留所でウイスキーが造られており、「ブルックラディ」も1881年にアイラ島南部で設立された。1990年代には経営不振のため一度閉鎖されたものの、2001年に再開された「ブルックラディ」ではいくつかの革新的な試みがなされている。

そのひとつにして、最大の特徴は「ノンピート」「ピーテッド」「スーパーヘヴィリーピーテッド」の3種を造っていること。アイラ島産のウイスキーの「スモーキー」「ヨードチンキのような」と描写されるこの特色は、アイラ島産ピート(泥炭)からもたらされるものだが、この「ブルックラディ ザ・クラシック ラディ」はピート香がない=ノンピートである。

ピート=アイラという既成概念にとらわれず、スコットランド産の大麦の栽培地域や海辺での熟成にこだわったこの 「ブルックラディ ザ・クラシック ラディ」はノンピートであるが故に、スコットランド産大麦の味わいを最大限に楽しめるものとなっている。

次にこの斬新なボトルデザインに注目していただきたい。

「BAR官兵衛」のバックバー(酒棚)を見てもわかるように「ブルックラディ ザ・クラシック ラディ」は、その“らしく”ないデザインにより、そこだけ光を浴びているような存在感を放つ。このボトルには大麦の畑や栽培方法、そして蒸留のスタイルに至るまでこだわりが細かく記されており、これほど情報量の多いボトルはおそらく世界中のどこにもないだろう。

「スタイリッシュなデザインが、初めてシングルモルトを飲む方からも人気です。アル コール度数は50%と高いのに、やさしくて丸い香り。骨格がしっかりとしているので、ハイボールにしてもその味わいを存分に味わえます」(平野圭一さん・BAR官兵衛代 表取締役)。

このデザイン性の高さは、伝統的な製法を守りながらも、革新的な試みを続ける蒸 留所の哲学の表れだろう。また、ブルックラディは島の若者を積極的に採用。地元の雇用を促進するだけでなく、大麦農家を含めたコミュニティとスタッフ全員が家族のように連携し、アイラ島への愛に満ちたウイスキーを造っている。

スコットランド産大 麦の味わいをそのままに堪能できる造り、現代的なデザインのボトル、そしてそれを 造る人々の気概……まさに革新的な、唯一無二の1本である。

<BRUICHLADDICH THE CLASSIC LADDIE>
度数:50%
容量:700ml
価格:5500円
問い合わせ:レミー コアントロージャパン 03-6441-3040

<今宵の一杯はここで!>
BAR 官兵衛 〜神田随一のシングルモルトセレクション〜

狭いエリアに雑多な飲食店がひしめくJR神田駅の周辺にあって、めずらしくオーセンティックなバー「BAR 官兵衛」。150種に及ぶというシングルモルトのラインナップは見応えあり、入りやすい雰囲気はウイスキー初心者も歓迎してくれる。革張りのスツールとカウンターは居心地よくついつい長居をしてしまいそう。接待や会食からの2軒目としての利用も多い。



住所:東京都千代田区鍛冶町2-7-11 長谷川ビル2F
電話:03-3251-2870
営業時間:18:00〜26:00
定休:日休

photograph by Yuji Kanno text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 「地域経済圏」の救世主」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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