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2018.06.07 08:00

GitHub、8000億円買収で生まれた「30代のビリオネア」3人の横顔

GitHub共同創業者のトム・プレストン・ワーナー(Photo by Steve Jennings/Getty Images)

GitHub共同創業者のトム・プレストン・ワーナー(Photo by Steve Jennings/Getty Images)

マイクロソフトは6月4日、ソフトウェア開発者向けプラットフォームの「GitHub(ギットハブ)」を75億ドル(約8240億円)で買収すると正式発表した。これにより、テック業界の新たなビリオネアたちが誕生した。

フォーブスの試算では、現在33歳のGitHubの共同創業者兼CEOのクリス・ワンストラス(Chris Wanstrath)は、15億ドル(約1650億円)相当のマイクロソフトの株式を手に入れる。オハイオ州生まれの彼は独学でプログラミングを学び、シンシナティ大学を中退した後にGitHubを立ち上げた。

彼とともに同社を創業したトム・プレストン・ワーナー(38)とPJ Hyett(35)らは、それぞれ推定12億5000万ドルと10億ドル分の株式を受け取るという。

2014年にGitHubを離れたプレストン・ワーナーはフォーブスの取材に対しコメントを控えた。GitHubの担当者も取材には応じていない。Eメール取材に対しHyettは「自分はビリオネアではない」と回答したが、詳細は述べていない。

GitHubの創業は2008年。ソフトウェア開発者らのコラボレーションを促すことをゴールに掲げ始動した。その後、同社は世界最大のプログラムの貯蔵庫に成長した。マイクロソフトは今回の買収にあたり「2800万人以上の開発者がGitHub上でコラボを行なっている」と述べた。

同社の出資元の1社、セコイアキャピタルでパートナーを務めるJim Goetzは、今回の買収の報せを次のように祝福した。「これはGitHubの創業チームたちが大きなマイルストーンを達成しただけでなく、そこに集うプログラマーたちにとっても大きな意味を持つことだ」。

セコイアキャピタルは2015年、GitHubの2億5000万ドルのシリーズB調達ラウンドを主導し、同社の2番目の外部出資元となっている。最大の外部出資元は「アンドリーセンホロウィッツ」で、少なくとも13.33%のGitHub株を保有し、その価値は10億ドル以上に達している。

米大統領顧問の弟も出資

他の主要出資元としては、米国大統領顧問のジャレッド・クシュナーの弟のジョシュア・クシュナーが共同創業した「Thrive Capital」があげられる。Thrive Capitalはインスタグラムの初期の出資元としても知られる。

GitHubはこれまで累計3億5000万ドルを調達している。

買収のニュースはGitHubの紆余曲折の歴史とともに報じられた。前述のプレストン・ワーナーは2014年にGitHub社内でセクハラやパワハラ騒動が持ち上がった後に、会社を去った。この件に関しGitHubは「社内調査の結果、ハラスメントがあったとする申し立てが真実であるとする明確な証拠は見つからなかった。しかし、社内の判断ミスがあったことは事実だ」と述べた。

現CEOのワンストラスは昨年のフォーブスの取材に「後任が決まり次第、自分はCEOのポジションを去るつもりだ」と述べていた。今回の買収成立により、ワンストラスの職務はマイクロソフトのバイスプレジデントのNat Friedmanが引き継ぐことになる。

Friedmanはマイクロソフトで技術フェローを務めつつ、GitHubの職務を行なうことになる。GitHubの買収は規制当局の承認を経て2018年中に完了する見通しだ。

編集=上田裕資

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