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2018.06.04

職場で「部下をどこに座らせるか」はマネジメントの第一歩

Monkey Business Images / shutterstock.com


あらためて思うが、仕事上で尋ねたいことがあるときに、聞きたい相手が忙しいかどうかを見極められる島方式は好都合だ。社員教育の観点でも、同期や先輩の仕事ぶりを横で見ることができる妙味は何ものにも代えがたい。

わたし自身も昔をふり返り、隣の先輩がお客さまにかけた電話での交渉や謝絶、依頼や社交辞令のやりとりなどは、一生耳に残る財産となっている。

であればこそ、あなたのチームの席順は本当にそれでいいのか、島方式の趣旨を最大限に活用できているのか、つねに見直す必要があるだろう。

一方で、クリエイティビティを求められる仕事の場合、島方式の効率は相当悪い。人の視線が自分のパソコンモニターに注がれ得る場所で、あるいは耳がいろんな雑音を拾ってくるときに、企画書など集中を要する創作物はつくれまい。

日本の職場にありがちな歪み

多くのアメリカの企業では個室のドアを開けっぱなしておくのは暗黙のマナーだが、集中を要する作業のときには、意味深な「半開き」というのも稀ではない。これはつまり「できれば邪魔しないで」というメッセージとなる。

島方式の席が多い日本の職場マネジメントのポイントは、「耳学問」と「集中させてくれ」をどこで折り合わせるかということが、大きなカギになると言える。どちらに偏ってもゆがみが生まれる。

これを社員の立場から述べるならば、あなたはそれが自分にとっても会社にとっても正しいことだと思う限り、朝残業でも夜残業でも、「Don’t disturb」の紙を貼るのでも、ふいに抜け出して向かう喫茶店でも、制約のあるなかで必死の工夫をして自分だけのスペースを確保し、効率を向上させるべきだ。

そう言えば、最近、トイレの個室の占有率が高まっているような気がしないか? そりゃあ、みんながスマホを持ち込んでいるのも知らないわけじゃないが、自分だけのスペースを確保したいからといっても、もうちょっと工夫は他にあるでしょう?

連載 : ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信
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文=長野慶太

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