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モバイル業界のアジテーターとイノベーターに関する記事をカバー

(Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

日本のビリオネアの孫正義は、欧州でのロボット事業の拡大に苦戦している。孫率いるソフトバンクは、2013年にフランスのロボットメーカー「アルデバラン(Aldebaran)」を1億ドル(約109億円)で買収し、その2年後に人型ロボット「ペッパー」をリリースした。ペッパーはアルデバランが開発した感情認識技術を搭載し、あどけない表情で人間のように話すのが特徴だ。

ペッパー1台当たりの販売価格は2万ユーロ(約255万円)で、ソフトバンクロボティクスはこれまでに欧州で1万2000台を販売した。

「素晴らしい実績だが、まだまだ小さな数字だ」と同社で営業・マーケティング担当ディレクターを務めるNicolas Boudotは話す。これらの台数の中には、ワシントンDCにあるスミソニアン博物館が導入した25台や、小売り大手カルフールがスペインにある店舗に接客用として採用した14台など、試験的に導入されたものが多く含まれる。

ソフトバンクにとって今後の課題は、過去2年間のテスト導入の経験を活かし、ロボティクス事業を急拡大させることだ。

「我々にとっての最優先事項は、世界中で行った試験プログラムで培ったノウハウをもとに、大量のペッパーを販売することだ。そのために検討を重ねている」とBoudotは話す。

ペッパーは、これまでに「ルノー」のショールームでコンシェルジュとして100台が採用されている。Boudotは現在、ペッパーを試験的に導入しているクライアントが今後、100台規模で追加発注すると見込んでいる。

日本は店舗でのロボット導入において世界をリードしており、回転寿司チェーン「はま寿司」では400以上の店舗でペッパーが接客を行っている。また、日本政府は高齢化社会における介護向けにロボットの導入を推奨している。

ソフトバンクが欧州で事業拡大を図る上での課題の一つは、文化的な違いへの対応だ。例えば、フランスではカルフールの21店舗にペッパーを導入する予定だったが、今年はじめに同社の従業員2千人が解雇された件に配慮し、保留となっている。

「従業員を解雇する一方でロボットの採用を進めていくのは難しい」と先週パリで開催された最新技術の展示会「ビバテック(VivaTech)」に参加したBoudotは語った。フランス人は、日本人に比べて生活の現場にロボットを導入することに抵抗が強いようだ。

編集=上田裕資

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