急成長への期待から、マイクロソフトの株価は今年5月30日末までの1年間におよそ43%上昇している。このペースで値上がりが続けば、同社の時価総額は2019年5月までに1兆ドルに達すると予想される。
一方、同じ期間のアルファベットの株価の上昇率は、8.2%だ。この上昇率を維持した場合でも、同社の株価が1兆ドルに達するのは2022年5月になると見込まれる。
マイクロソフト株の急騰の背景には、同社のクラウドコンピューティング部門の見通しが明るいことがある。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、米モルガン・スタンレーのアナリストは、「クラウドの普及、大規模な流通チャネルと顧客ベース、利益率の改善が…(マイクロソフトの)時価総額1兆ドル企業への歩みを後押しするだろう」との見方を示している。
マイクロソフトがアルファベットよりも先に「1兆ドル企業」になると見込まれる主な理由は、以下の3つだ。
1. ナデラCEOの手腕
サティア・ナデラは、CEOがどれほどの違いを生み出せるかを示す素晴らしい例だ。マイクロソフトはドットコム・バブルの崩壊まで、創業者ビル・ゲイツの下で目を見張るほどの好調ぶりを維持した。だが、ゲイツがCEOの職を後任のスティーブ・バルマーに譲ると、同社の業績は低迷した。
FTは当時の同社について、「スマートフォン向けソフトウェア市場でアップルとグーグルに後れを取ったバルマーは、フィンランドの電気通信機器メーカー、ノキアの携帯電話事業を買収するという賭けに出た。ウォール街が例外なく否定的な見方を示したこの賭けは負けに終わり、バルマーは2014年に退任した」と伝えている。
だが、マイクロソフトのクラウド事業を率いていたナデラが新たなCEOに就任して以降、同社の事業は順調だ。ナデラはマイクロソフトの文化をより良い方向へと変化させたのだ。
バルマーがCEOを務めていた当時、企業各社はマイクロソフトを適切なパートナーとは見ていなかった。一方のナデラは従業員と顧客の成功を重視する文化を創出し、「マイクロソフトとの提携は利益になる」と各社に納得させた。
つまり、投資家たちは、マイクロソフト製品は今後も企業各社への販売数を増やし、それによって楽観的な材料になる多くの驚きがもたらされると期待しているということだ。それが、同社の株価を大きく値上がりさせている。